JICA海外協力隊の世界日記

ナミビア便り

#18_ワークショップの学び

オマルルの教育事務所で活動している奥野です。

 話は2月12日と少しさかのぼりますが、本事務所が管轄する15の小学校の先生を招き2泊3日に渡る大規模なワークショップ実施しました。本日はそのワークショップについて話したいと思います。

 このワークショップの目的は「ナミビアの先生にテストを有効活用する方法を知ってもらいたい」というものでした。テストは実施して、結果を返して終わりではなく、「どうすれば子どもの力を正確に測ることができるテストになるのか?」「そのテストの結果を通して何がわかるのか?」「今後の学習にどう生かしていけばいいのか?」などを考える場としました。ワークショップ中には実際にテスト作りを行い、町にある1つの小学校でそれを実施し、みんなで結果を分析しました。

 従来は算数以前に、英単語の難解さや解答欄のスペース、イラストの見にくさ等が原因で失点している子どもが多くいることを伝え、少しの工夫で本来の算数の力を発揮できることを多くの先生に知ってもらえたことが大きな成果でした。また、分析をする際も、間違えの原因を考え、今後どのような手立てが必要かを先生たちと一緒に考えました。

 ワークショップ中、私は事務所管内の小学校で実施した学力テストの結果と分析を発表しました。この学力テストは2024年度1月(年度初め)と11月(年度末)に2回実施したもので、各学校の数値の変化も調べました。日本の学力状況調査を参考にして実施した企画でしたが、年度内に2回同じテストを同じクラスに実施したことで、よりその学校の成果や課題を細かく分析できました。

 結果については良いことも悪いことも正確に伝えましたが、今回私が一番実施したかったことは、成果のあった学校の先生に自分の指導法を紹介してもらうことでした。つまり、ナミビアの先生がナミビアの先生に学力を向上させた方法をプレゼンしてもらったのです。ワークショップを開くと当たり前ですが、日本人がナミビア人に指導法等について教えることが多いです。しかし、ナミビアにも力のある先生はいっぱい居ます。そして、「同じ地域の先生が頑張っているのだから、自分もがんばろう。」そう思ってもらえたら、うれしいなと考えました。

 実際にその先生にプレゼンをしてもらい、良い学びの場になりました。また、私自身のプレゼンの中でも、オマルルの町の中でがんばっている先生を複数紹介しました。ボランティアは2年しか滞在できませんが、先生たちはこれからもずっとナミビアで働きます。ナミビア人同士で学び合い、地域の教育力を向上していって欲しいです。

 ワークショップの最終日には、ボランティアがそれぞれ自分の学校で行っている取組や教材を紹介しました。ナミビアの先生に一番喜ばれるのは、実はこれだったりします。

 今回のワークショップはテストについて主に考える内容でしたが、どんなワークショップであれ、その利点は各ボランティアの活動を地域全体に広げることができることにあります。私の所属する教育事務所には25の小学校がありますが、そのうちボランティアが配置された学校は過去に遡っても4、5校程度です。私の立場は指導主事なので、地域全体の教育力を高める必要があります。その時、他のボランティアの力を借りられると非常にありがたいです。

 先輩隊員の教材の紹介もしました。現在、自分の学校で日々がんばっている隊員の活動も知ってもらいました。「使えると思った教材は使い続けて欲しい」とのメッセージを伝えました。私たちの教材や指導法が少しでも地域に広がり、そして長く使われ続け、将来のボランティアに引き継いでもらえることを期待しています。

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