2026/09/25 Fri
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パラオ 海 ヨット わたし

はじめまして、神谷仁です。26歳、静岡県出身です。2025年12月からパラオに派遣され、現地の子どもたちへのヨット指導や、セーリング文化の普及に取り組んでいます。 私とヨットとの出会いは、地元・静岡県の浜名湖でした。5人兄弟の末っ子として生まれた私は、母のお腹の中にいる頃から海へ通うことが日常でした。物心がつく頃には競技としてヨットに取り組む一方で、海で過ごす時間そのものにも魅了され、これまでさまざまな形で海と関わってきました。 そして気づけば、浜名湖から遠く離れた南の島国・パラオへ。ここで子どもたちにヨットを教えながら、私自身も改めて「ヨットとは何なのか」「人にとって海とはどのような存在なのか」を考え、試行錯誤を重ねる日々を送っています。 そもそも、ヨットとはどのような乗り物なのでしょうか。 ヨットは、エンジンではなく「風」を利用して海を進む船です。帆を張り、風を受けることで前へ進みます。ただし、風に押されているだけではありません。帆は、飛行機の翼と同じように「揚力」を生み出します。詳しい仕組みは流体力学の本に譲るとして、イメージとしては、飛行機の翼を縦に立てて、船の上に取り付けたものがヨットの帆です。 飛行機の翼が空気の流れを利用して機体を浮かせるように、ヨットの帆は風の流れを利用して船を前へ引っ張ります。そのため、風が吹いてくる方向に対しても、ジグザグに進路を変えながら進むことができます。風に押されているだけなら、風上へ向かうことはできません。風を味方につけ、翼のような帆で進むからこそ、ヨットは風上にも近づいていけるのです。 ヨットを操るときに重要なのは、風だけではありません。波や潮の流れなど、刻々と変化する海の状況を感じ取り、それに合わせて帆の角度や船の向きを調整します。同じ場所でも、風や波が少しでも変われば、ヨットの走り方も変わります。 つまりヨットは、「自然と仲良くなって初めて乗りこなすことのできる乗り物」です。エンジンの力で海を進むのではなく、その時々の自然の力を感じ、それを利用しながら進んでいく。そこにヨットの大きな魅力があります。 私がこれまで競技として取り組み、そして今パラオで子どもたちに伝えているのも、こうした風と海を相手にするセーリングです。

パラオでの活動は、大きく二つあります。
一つ目は、現代のヨット競技の指導です。子どもたちにヨットの乗り方やセーリングの技術を教えています。帆の張り方や艇の操作といった基本技術に加え、風向きや波の変化を読むこと、レース中の状況を判断することなども、一人ひとりのレベルに合わせて指導します。また、国内大会や国際交流レースの運営にも関わり、子どもたちが日頃の練習の成果を発揮できる場をつくっています。最終的な目標は、オリンピックへの出場です。決して簡単に実現できる目標ではありませんが、そこへ向かって、今できることを一つひとつ積み重ねています。
二つ目は、パラオに古くから伝わる伝統文化の継承・保護に関わる活動です。パラオでは、伝統的なカヌーが人々の移動や交流を支えてきました。現在も、カヌーをつくったり、実際に海へ出たりする機会を通して、その技術や文化を次の世代へ伝える取り組みが行われています。私もこの活動に関わり、子どもたちがカヌーに触れ、パラオの海洋文化を身近に感じられる機会をつくっています。

パラオに来て、私自身の「ヨット」に対する見方も少しずつ変わってきました。
これまでの私にとって、ヨットはどちらかといえば「競技をするための道具」でした。どうすれば速く走れるか、どのコースを選べば勝てるか。風や波を読むことも、レースに勝つための技術として考えていたように思います。
しかし、伝統的なカヌーに関わる中で、ヨットよりもはるか昔から、人は風や海を利用して遠くへ移動してきたことを改めて知りました。エンジンもGPSもない時代、人々は風や波、潮の流れ、そして自然の変化を感じ取りながら海を渡っていたのです。
そう考えると、私が今まで競技として乗ってきたヨットも、決して特別な乗り物ではありません。人が長い年月をかけて培ってきた「風と海の力を借りて移動する」という営みの延長線上にあるのだと感じるようになりました。
パラオでの活動を通して、私は改めてヨットを見つめ直しています。ヨットは、スポーツの道具であると同時に、自然と人をつなぎ、海と人との長い歴史を感じさせてくれる乗り物でもある。そんな新しい視点を持てたことは、私にとってパラオに来たからこそ得られた大きな発見の一つです。
昔のヨット、今のヨット、海を感じに、ぜひパラオへ足を運んでみてください!!
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