JICA海外協力隊の世界日記

パプアニューギニア便り

パプアニューギニア 東ハイランド州で農業の力を育てる

 Apo!(やあ/ゴロカ方言で「こんにちは」に近い挨拶) パプアニューギニア東ハイランド州ゴロカの農畜産局(DAL)で活動しているJOCV 2024年1次隊 野菜栽培の原 大です。

 2024年8月に着任し、現在は州内の4地区を担当し、農家リーダーとともに農業改善に取り組んでいます。私の住むゴロカは標高1,500mの高原地帯で、昼は穏やかでも、夜はヒーターが必要になるほど冷え込みます。そんな環境のもと、地域の農業がどのように営まれているのかを知るため、地域農業の実態を知るために農家リーダーへのアンケート調査から取り組みを始めました。 そこで見えてきたのは、PNGでは家族の食料と販売作物を同じ畑で育てるため、計画的な栽培が難しくなること。また、肥料や農薬への投資が十分に行われず、結果として収量や品質が不安定になりがちなことでした。

 こうした状況を少しでも良くするため、私は外部資材にあまり頼らずに取り組める「緑肥」(土の力を高め、肥料を補い、病害虫の発生を抑える効果も期待できる植物。)の導入を提案しました。現在はクロタラリアやカラシナを中心に、その生育特性や採種方法を、農家リーダーやDAL職員の皆さんとともに学んでいます。

 「自分たちで種を採り、翌年も続けられる」、この力が身につけば、地域の農業はぐっと強く、安定していきます。小さな取り組みですが、長く続く改善につながる大切な一歩で、緑肥は外部資材への依存を減らし、農家が自立して農業を続けられる仕組みづくりにもつながっています。

 また、この取り組みは日本農業普及学会にも報告しており、学会誌に掲載される予定です。 PNGの農業の現状や、地域の皆さんの取り組みを日本の農業関係者に知っていただき少しでも理解が深まれば嬉しく思います。

 東ハイランド州の農業には、まだまだ大きな可能性があります。この活動は地域の皆さんと一緒に進めている取り組みであり、これからも現場に寄り添いながら、小さくても確かな改善を積み重ねていき、「今年より来年、その先も少しずつ良くなる農業」を目指し、地域とともに歩んでいきます。 これからも、地域の皆さんとともに、持続可能な農業と土づくりを一歩ずつ進めていきます。

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       農家リーダーとのアンケート調査 〜集落構造の把握〜

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 多くの農家では、肥料・農薬をほとんど使わない小規模投資型の農業が行われている

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  試験栽培中のクロタラリア(左)          カラシナ(右)

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