JICA海外協力隊の世界日記

パプアニューギニア便り

教科書がなくても、机がなくても--"わかる"を届ける算数の授業

Apinun (トクピジン語でこんにちは)!青少年活動でオロ州ポポンデッタ小学校に派遣されている Yu です。
今回は、学びの現場で感じた課題と、そこから生まれた工夫についてご紹介します。


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今年は3年生4クラスを担当!

今年度は、持ち上がりで3年生を担当することになりました。しかも、なんと全4クラス!
クラスの雰囲気や学力にはばらつきがあり、日本と同じように個性豊かな学年です。
担任の先生方もフレッシュで、うち2人は新卒。明るく活気に満ちた学年です。

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できて当たり前”じゃない現場

現地の3年生たちは、1桁の足し算や引き算に苦戦している子も多く、
繰り上がりや繰り下がりの計算になると混乱してしまう姿が見られました。

時計の読み方や「10をつくる」という基本的な考え方も十分に理解されておらず、
1・2年生の復習から始める必要がありました。

また、1クラス40人前後という大人数で、机や椅子が足りない教室もあります。

JICAとPNG政府が支援している国定教科書も配布されていますが、数が足りず、
1冊を3~4人で共有して使っています。

もちろん、日本で当たり前のように使われている教材やブロックのようなものはありません。

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だからこそ「見える」教材と「寄り添う」姿勢を

私は、「現地で手に入るもので」「現地の先生でも簡単に作れる」をキーワードに、
手作りの視覚教材を導入しました。

数を“見る”、物を“動かす”、量を“感じる”——そうした体験が、
子どもたちの理解に大きな変化をもたらしました。

また、日本の教育現場では当たり前のように行われている
机間支援(教室内を歩いて個別に声をかける)」も実践。

現地ではこれを行う先生はほとんどいません。

授業中に一人ひとりの“つまずき”をその場で見つけ、声をかけることで、
子どもたちは安心して学びに取り組むようになりました。

教科書も教材も限られた環境ですが、
だからこそ「どう伝えるか」「どう気づくか」が、より大切になることを実感しています。

自分の授業を通して、視覚教材や机間支援の大切さ、そしてそのノウハウを、
少しずつ現地の先生方と共有していきたいと思っています。

次回は、 実際の授業でどのような工夫をしているか をご紹介します。お楽しみに!



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他のPNG隊員の記事 →JICA海外協力隊 世界日記(パプアニューギニア)

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