JICA海外協力隊の世界日記

パプアニューギニア便り

水不足で、学校が止まった。


こんにちは。小学校教育隊員の小山拓真です。

配属先であるココポ小学校では、英語や体育、社会科の授業に加え、日本語や日本文化を紹介する活動など、少しずつ自分にできることを始めています。教室に入れば子どもたちの元気な声が響き、休み時間には一緒に遊び、先生方とも少しずつ関係を築いてきました。

そんな矢先、学校から一つの通達が届きました。

9月28日から、Grade 1~6の授業を無期限で停止する。

理由は、エルニーニョによる深刻な水不足です。

現在、東ニューブリテン州の一部地域では長期間にわたって雨が少なく、多くの学校が雨水タンクや地域の水源に依存しています。しかし、その水源自体が枯れ始めています。

学校に水がなければ、授業を続けることはできません。

日本で生活していた頃、「水がないから学校を休む」という状況を具体的に想像することはありませんでした。

学校が休みになるとすれば、台風や大雪、感染症など、比較的限られた理由を思い浮かべます。

しかし、ここでは水そのものが教育の継続を左右する。

今回の出来事を通して強く感じたのは、教育の課題を「学校の中」だけで考えることの難しさです。

これまで私は、パプアニューギニアの教育課題について、教員不足や教材不足、学習環境の違いなど、主に学校内部の課題に目を向けてきました。

しかし、今回の休校は、それらとは少し異なる側面を見せてくれました。

気候、天候、水、交通、治安。

教育環境を整えることと、生活環境を整えることは切り離せません。

今回の出来事をきっかけに、気候変動についても考えました。

気候変動の影響については、世界中でさまざまな地域が影響を受ける一方、国や地域によって、その影響の受け方や対応するための資源には違いがあると指摘されています。もちろん、今回のエルニーニョによる水不足を、すべて気候変動だけに結びつけることはできません。

それでも、気候や環境の変化による影響の「皺寄せ」が、社会的・経済的な基盤に課題がある地域により大きく現れる可能性があるということについて、現地にいる一人として考えさせられます。

水不足は、すべての家庭に同じように影響するわけではありません。

十分な水を確保できる家庭と、そうでない家庭。
学校まで比較的容易に通える子どもと、生活のために水を汲みに行かなければならない子ども。

同じ「休校」という出来事であっても、その背景にある生活状況によって、子どもたちが受ける影響は異なる可能性があります。

学校が休みになれば、すべての子どもが同じ条件で学べなくなることも考えられます。

これまで「教育格差」という言葉を知識として理解していたつもりでしたが、今回、その構造の一端を現場で見ることができたように感じています。

協力隊員として今、自分に何ができるのか。

正直なところ、少し戸惑っています。

私は特にこのタームでは、一教師として、子どもたちと直接関わり、授業をすることを活動の中心に考えていました。

しかし、子どもたちが学校に来られない以上、これまでと同じ方法で活動することはできません。

だからこそ今は、「何かをしなければ」と焦るのではなく、この状況そのものから学び、自分の活動を考え直す時間にしたいと思っています。

協力隊の活動では、計画通りに進まないことがほとんどです。

むしろ、計画と現実との間に生まれた「余白」に、現地の課題や本当に必要とされていることが見えてくるのかもしれません。

今回の休校も、単なる活動の中断ではなく、自分の活動を現地の状況に合わせて再設計するための機会だと捉えたいと思います。

日本で教員として働いていたとき、私は授業をどう改善するか、どうすれば生徒が主体的に学べるか、といったことを考える機会が多くありました。

もちろん、それらは大切なことです。

しかし、その前に、子どもが学校に来ることができる環境があるのか。

そこから考えなければならない場所も、世界にはあります。

日本では当たり前のように存在していたものが、ここでは当たり前ではない。

その違いを知ることは、単に「日本は恵まれている」と気づくことではないと思います。

むしろ、これまで自分が当然だと思っていた教育や生活の前提を、一つひとつ問い直すことなのだと思います。

そしてそれは、途上国を「支援する側」と「支援される側」に分けて考えることへの問い直しにもつながります。

学校が再び子どもたちの声で満たされる日を待ちながら、「今の自分にできること」だけでなく、「この経験から何を学び、学校再開後にどう還元できるか」を考えていきたいと思います。

それはすなわち、活動の定義を再設計することだと思います。

予定外の出来事にどう向き合い、そこから何を学び、活動にどうつなげるのか。

それもまた、現地で活動する者に求められる大切な姿勢なのだと思います。

学校が再開したとき、今回の経験が少しでも次の活動につながっているように。

そして、いつか日本の教室に戻ったときにも、この経験を子どもたちに伝えられるように。

今は焦らず、この時間を有意義なものに変える工夫をしていきたいと思います。

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