JICA海外協力隊の世界日記

パプアニューギニア便り

学校の中だけでは見えないこと

こんにちは。PNGコミュニティ開発隊員の小林です。ミルンベイ州政府コミュニティ開発局にて活動しています。

先日、住んでいる家の近くで、警備の仕事をしているという男性と話をしました。話していて、とても感じのよい人でした。会話の中で、これまでどんな仕事をしてきたのか、学校にはどこまで通っていたのかなどを聞かせてもらいました。

彼は、初等教育のGrade 6(第6学年)まで学校に通っていたそうです。当時は学校に通うためにお金がかかり、親が費用を払えなくなったため、学校を辞めたとのことでした。

学校を離れた後は、金を掘る仕事をしていたそうです。その後、若い頃には非行に及んでいた時期もあったと話してくれました。身の危険を感じる経験をきっかけに、それまでの生活を離れたとのことでした。

現在はアロタウで家族と暮らし、警備の仕事をしているそうです。

今後について聞くと、いずれは家族と離れて、再び金を掘る仕事に戻ることを考えていると話していました。そちらのほうが稼げるから、とのことです。

何気ない会話から、こうした話を聞くことになるとは思っていませんでした。学校を辞めた当時、彼が何を考え、どんな選択肢の中で仕事や生活を選んできたのかは、まだ十分には聞けていません。もう少し話を聞いてみたいと思いました。

学校を途中で辞める子どもについては、他の人にも何人か聞いてみました。実際の人数や割合はわかりませんが、聞いた人は皆、「Plenty!(たくさん)」と答えました。

学校に通わなくなる理由もいくつか聞きました。勉強についていけない、勉強が苦手。学校までの交通手段がない。場所によっては、危険で通えない。子どもに家の仕事をしてもらうため、学校に行かせない。

かつては授業料がかかっていたため、彼と同じように、親が費用を払えず、学校に通えなくなったという話も聞きました。現在は、Grade 12(第12学年)まで授業料が無償となっています。

また、「学校を卒業しても仕事に就けるとは限らないから、学校に通うメリットがわからない」という話も聞きました。

学校を最後まで卒業しても、必ず仕事に就けるわけではありません。その現実がある中で、学校に通う意味を感じられない人に、「勉強は大切だから」と伝えるだけでは、話がかみ合わないこともあるのではないかと思います。

そうした考えを、教育の大切さを理解していないというだけで片づけることもできないと思います。そう捉えるようになった暮らしや経験があるのではないでしょうか。

教員の指導力や、子どもが勉強の仕方を身につけることも大切です。ただ、学校の中をよくするだけでは、解決できないこともありそうです。

そもそも安全に学校へ通えるのか。家庭が通学を支えられるのか。そして、学校で学んだことが、その後の生活にどうつながるのか。教育について、もう少し根本から考える必要もあるのだと思いました。

今、コミュニティ開発局では、若者の仕事づくりを支える企画について話し合っています。学校に通うことと、働くことを別々に考えるのではなく、その人の暮らしの中でどうつながっているのか。今回聞いた話を、そのことを考えるきっかけにしたいと思います。

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