2026/10/06 Tue
文化 生活
コミュニティ開発/パプアニューギニアのお酒について聞いてみた

写真1:パプアニューギニアのビール「SP Lager」。こちらではよく見かけます。
こんにちは。PNGコミュニティ開発隊員の小林です。ミルンベイ州政府コミュニティ開発局にて活動しています。
こちらに来てから、ふと「アルコールって、パプアニューギニアではどんなものなんだろう」と思いました。
日本でも、お酒は飲み会やお祝いの場など、いろいろな場面で飲まれています。
こちらでも、お酒を飲んでいる人を見かけます。
そんな中で、少し気になって調べてみました。
すると、パプアニューギニアではアルコールと暴力との関係を示すデータもありました。
例えば、パプアニューギニアの女性を対象とした研究では、パートナーの飲酒と、身体的・精神的・性的な暴力との間に関連がみられたと報告されていました。
では、実際にここで暮らしている人たちは、お酒のことをどう思っているのか。
データだけでは分からないこともあると思い、地元の人に何人か話を聞いてみました。
何人かに話を聞いてみたところ、
「お酒=悪いもの」
という感じではありませんでした。
ある女性に聞いてみると、お酒はお祝い事や人が集まる場などで飲むもので、日本とそれほど大きく違わないような印象でした。
一方で、「お酒が暴力につながることもある」という認識も、こちらではあるようです。
さらに話を聞いていくと、興味深い話がいくつか出てきました。

●写真2 アロタウのリカーショップ。お酒は基本的にこうしたお店で購入します。
アロタウでは、お酒は普通のスーパーマーケットなどではなく、基本的にリカーショップで購入します。
そして、アロタウにあるリカ―ショップは、金曜日から日曜日まで閉まっており、その間はお酒を買うことができません。
これは以前から知っていたのですが、「なぜ週末はお酒を買えないのか?」と気になり、理由を聞いてみました。
すると、その背景には給料日との関係があるという話を聞きました。
話によると、パプアニューギニアでは、月に2回、金曜日に給料が支払われる職場が多いとのこと。
給料を受け取ったあと、週末にお酒をたくさん買ってしまい、家族のために必要なお金まで使ってしまうことがある。
そのため、週末のお酒の販売を何らかの規制によって制限しているのだ、と説明してくれました。
もちろん、これは私が現地の人から聞いた説明なので、実際の制度がいつ、どのような理由で始まったのかについては、もう少し調べてみる必要があります。
ただ、「お酒を売らない」というルールの背景に、家庭の生活を守るという考え方があると聞くと、少し見え方が変わります。

●写真3:週末のリカーショップ。金曜日から日曜日までは閉まっています。
また、ある人からは、パイナップルなどの果物を発酵させて、自分たちで強いお酒を作る人もいるという話を聞きました。その方によると、こうしたお酒を作ることは法律では認められていないとのことです。
また、ある地域をまとめる立場の方から、妊娠中の飲酒について話を聞く機会がありました。
その方は、妊婦の飲酒だけでなく、喫煙やドラッグの使用についても心配していました。
話をしていると、その方は身体に障害のある子どもたちの写真を見せながら、丁寧に、かつ切実にそのことについて話してくれました。
その方は、こうした子どもたちの中には、妊娠中の飲酒や喫煙、ドラッグなどが影響しているのではないかと懸念していました。
もちろん、私自身は医学的な判断ができる立場ではなく、見せてもらった子どもたちの障害と、妊娠中の飲酒などとの詳しい因果関係について、ここで判断することはできません。
ただ、その方の話を聞く中で、もう一つ印象に残ったことがありました。
その方は、正しい情報や知識を得る機会が十分ではないことも、背景の一つなのではないかと話していました。
その話を聞いて、飲酒や喫煙、ドラッグがどのような影響を与えるのか。
そうしたことを知るための教育や情報が、必要な人にきちんと届いているのだろうか、とも思いました。
そういったことも、背景の一つにあるのかもしれません。
こうして話を聞いてみると、お酒そのものが「良い」「悪い」と単純に分けられているわけではないようです。
お祝いの場で楽しまれる一方で、家庭のお金や暴力、健康など、さまざまな問題とも関係しています。
最初は、ただ「PNGでは、お酒ってどんなものなんだろう」と思って調べ始めただけでした。
でも、少し調べて、実際に人に話を聞いてみると、お酒という一つのテーマから、家庭のこと、地域のルール、健康、教育、暴力など、いろいろなことがつながっていることが分かってきました。
まだまだ知らないことばかりです。
だからこそ、これからも「なんとなく気になったこと」をそのままにせず、まず調べてみる。
そして、実際に暮らしている人に話を聞いてみる。
そうやって、少しずつこの地域のことを知っていけたらと思います。
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