JICA海外協力隊の世界日記

パプアニューギニア便り

「体験」が変える理科教育― 首都での教員研修会にて ―

3月中旬、パプアニューギニア(PNG)の小学校で活動する隊員3名が、首都ポートモレスビーで、現職の小学校教師を対象に研修会を行いました。 この記事では、現地教員約50名に対する研修の様子をお伝えします。

教材を活かす力は体験から

「教師自身が実際に体験してみる」というのが、今回の研修の一つのテーマでした。
パプアニューギニアではJICAの支援で製作された3〜6年生向けの理科の教科書が普及しています。
これらの教科書は、各ユニットの構成に一貫性がありながらも、写真や図が豊富に用いられており、
視覚的にも理解しやすい工夫がなされています。また、基礎的な知識の習得にとどまらず、
パプアニューギニアの文化的・社会的背景にも配慮した内容となっているため、
生徒の実生活と結びついた学びを促し、学習効果の向上にも寄与していると感じています。

こうした大きな可能性を秘めた教材がある一方で、
教科書をどのように活用するかは教師の手に委ねられています。

だからこそ今回の研修では、教師自身が実験や活動を体験し、
その面白さや学びのプロセスを実感することを重視しました。

協力隊員による講義

今回は3名の協力隊員が、学生たちに向けて講義・実験を行いました。

1人目:教科書を活かした授業づくり

JICA教科書および教師用マニュアルの活用方法について、従来の板書中心の授業と比較しながら、
その有効性を提示しました。教科書に基づく授業の流れ(導入→発問→実験→まとめ)を示し、
1単元の模擬授業を実施しました。

参加教員は生徒役として授業を体験し、発問の仕方や活動の組み込み方への理解を深める機会となりました。
なお、「空気」の単元では、袋やカップを用いて空気を視覚化する実験を行いました。


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2人目: 光・磁力・電磁石の実験

日本の理科教育における実験中心の学習の意義とその学力向上への寄与について具体例を用いて説明しました。
その後、3種類の実験・観察活動を実施しました。

虫眼鏡を用いた焦点の観察、磁石の性質の確認、電磁石の作成を通して、光や磁力、電流の関係について体験的に理解を深めました。

これらの活動により、教員自身が実験の有効性を実感し、授業での活用イメージを具体的に持つことができました。

教員の中には、虫眼鏡や磁石を使用した経験がない方もおり、焦点が一点に集まった瞬間やコンパスの針が磁石の影響で動く様子を観察した際には、まるで生徒のように驚きや喜びを示していました。

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3人目:教材自作ワークショップ

教師用の理科教科書に基づき、現地教員が自ら作成可能な実験器具の制作を行いました。
本研修では、紙コップやストロー、厚紙、ピン、鉛筆など身近な材料を用いて風向計を作成しました。
制作後は屋外で実際に使用し、風向きを確認する活動も実施しました。

多くの教員が主体的に取り組み、完成した教材を用いて試行錯誤する様子が見られ、
限られた資源の中でも実施可能な理科教育の一例を示すことができました。
中には作成に苦戦する教員もいましたが、その分、完成した風向計が実際に動いた瞬間には、非常に嬉しそうな様子が見られました。

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学びは積み重ね

今回の教員研修を実施するにあたり、実験器具が十分に整っていない環境において、
実験を中心とした研修が本当に効果的なのかという葛藤がありました。
しかし、実際に研修を進める中で、その懸念は大きく覆されました。

身近な材料を用いたシンプルな実験であっても、教員自身が手を動かし、変化を目で確かめることで、
理解の深まりや学びの実感につながる様子が見られました。
また、実験を通して見られた驚きや喜びの反応は、理科の本質的な魅力を改めて示すものであり、
教育環境にかかわらず重要な要素であると感じました。

今回の経験を通して、理科教育において重要なのは、
「体験を通して学ぶ機会」をいかに生み出すかであると実感しました。

今後も、子どもたちの学びを支えるとともに、
現地の教員とともに成長し続けられるような取り組みを継続していきたいと考えています。

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◆PNG事務所からのお知らせ◆
2026年度 春募集 長期派遣 募集中です。(2/27~4/15)

今回の研修でも紹介されたように、パプアニューギニアの教育現場では、
JICAが支援した算数・理科の教科書を活用しながら、教員とともに授業改善や学びの質の向上に取り組んでいます。

小学校教育と聞くと、教員免許や専門的な指導経験が必要だと感じるかもしれませんが、
教員資格の要件(校種、指導教科問わず)が広い案件や、体育や英語などを軸とした青少年活動職種の案件塾等での指導経験を活かせる案件もあります。

また、算数と理科の教科書や教員用指導書(英語)が整備されているため、授業づくりに不安がある方でも、現地教員と協働しながら活動を進めることができます。

体験を通じた学びを広げ、子どもたちの未来に関わる一歩を、パプアニューギニアで踏み出してみませんか。

2026年度春募集へのご応募をお待ちしています。
パプアニューギニア国からの派遣要請情報一覧です。

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