JICA海外協力隊の世界日記

フィリピン便り

言葉より先に"オチョオチョ"がつないだもの

土壌肥料隊員のAkiです。5月からマニラで約1か月半の研修を受けています。
セブ島にある農業省管轄の土壌分析室で活動予定です。
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マニラで現地語学訓練(セブアノ語)を受けていますが、なかなか新しい語学の習得は難しく、
ときには一日中続く授業に疲れも感じるときもあります。

そんななか、午後の授業中、先生が笑いながらこう言いました——

“フィリピンに来たら、これを知らなきゃダメ!”

そう言って見せてくれたのが『Otso‐Otso』でした。
『Otso(Ocho)』はスペイン語で“8”の意味(フィリピンでも公用)。
腰を“8の字”にくねらせるその動きに、教室はたちまち笑いに包まれました。

オチョオチョ(Otso-Otso)は、2000年代初頭に
フィリピンで大流行したコミカルで親しみやすいダンスソングで、
今では「国民的ダンス」として多くの人に親しまれています。
文化的な意味を掘り下げると、以下のような特徴があります:

①庶民的で誰でも楽しめるダンス
オチョオチョは、特別なダンススキルがなくても楽しめる振り付けが特徴で、
子どもから大人まで幅広い層に受け入れられているようです。
特に「腰を8の字に動かす」動きがユニークで、笑いを誘う要素もあります。

②“笑い”と“つながり”の象徴
このダンスは、パーティーや学校行事、地域のイベントなどでよく踊られ、
人と人をつなぐ“場の空気”を和ませる文化的ツールとして機能しているそうです。
初対面でも一緒に踊れば距離が縮まる、そんな“社交の潤滑油”のような存在かと思います。

③フィリピンらしい陽気さとユーモアの体現
フィリピン文化に根付く「バヤニハン(助け合い)」や「マカパグビロ(冗談好き)」
といった価値観とも親和性が高く、明るく前向きな国民性を象徴するダンスとも言えます。

④音楽としての大衆性
「Otso Otso」は、当時の人気コメディアンVhong Navarroが歌ったことで爆発的にヒットし、
政治家の名前は知らなくてもこの曲は知っていると言われるほどの知名度を誇っているそうです。

教室で先生に教わったあのダンスは、ただのおふざけじゃなかった!
リズムに合わせて体を動かすたびに、「言葉じゃない言語」でこの国の明るさを感じた気がしました。

オチョオチョは、文化と人とことばをつなぐリズムでした。

覚えるより、まず感じてみる——それが、異文化への最高の入り口なのかもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=SZ4ZYqCJBDo

【 Aki/土壌肥料 】

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