JICA海外協力隊の世界日記

セントルシア便り

隊員Gのセントルシア日記_15 〜 How to Spend a Spare Time 〜

 私の配属先のカレッジは2セメスター制で、アカデミック・イヤー2024/2025の第2セメスターが終了したところです。私にとっては初めての経験ばかりでしたが、充実した実り多き学期となりましたこと、お世話になった先生がたと学生の皆さんに、心から感謝をさせて頂きたいと思います。本当にありがとうございました。

 新年度の第1セメスターは8月4日に始まります。それまでは、5月19日〜6月27日の期間に夏季集中講座こそ開講されますが、およそ2ヶ月半の間、ほとんど夏休み状態ということになります。私も、夏季集中講座の期間中は、火曜日の午前、木曜日の午前、そして金曜日の午後にチームティーチングの授業があるだけです。余暇の多さに圧倒されそうになりますが、そこは退職後の生活を経験している身。趣味に生きる道をよく知っているのです。しかし、ここで「はて?」と、立ち止まることになります。海外協力隊員として、もっとディープにローカルコミュニティーにコミットしたいという気持ちが頭をもたげ始めたのです。

 派遣国によっては、ホームステイをしている隊員もいます。彼ら彼女らは、ホストファミリーを通して、比較的容易にローカルコミュニティーとの関わりを築いていくことが可能です。しかし、ここセントルシアでは、隊員は皆、借家で一人暮らしをしています。一人暮らしは本当に気楽なのですが、配属先以外のローカルコミュニティーとの関わりは、希薄になりがちです。私も借家の大家さんに、教会に連れて行ってもらったり、早朝ピクニック会に連れて行ってもらったりして、様々な経験をさせて頂きました。しかし、何かもう一味欲しいところなのです。「異文化理解の深化」という志は満たされるのですが、「現地コミュニティーの役に立つ」という志が満たされていないのです。

 そこで私は、夏季休暇中の余暇に、新たなボランティア活動に従事し、ローカルコミュニティーに奉仕することを決心しました。ボスに相談したところ、JICAセントルシア支所も、配属先のカレッジも、快く私の志を受け入れてくださいました。未知のコミュニティーへのまっさらなアプローチについては、派遣前に参加したグローカルプログラムで経験したことが、おかげさまで大いに役立ちました。このスキル、帰国後に期待されている「郷土での社会還元活動」にも必ず活かすことができる、と私は密かに考えています。

 さて、新たな活動場所の1つ目は、居宅近くのSir Ira Simmons Secondary School です。私は、数学教育隊員で「セントルシアの子どもたちの数学学力の向上」が究極のミッションですので、これを大きく外れることのないように気をつけました。セカンダリー側も数学の遅進生徒対策に取り組んでいましたので、需要と供給が一致したという形になります。特に、代数における悩みが深刻のようで、「九九の表」「指数法則」「式の変形」「正負の数」などの具体的な例を挙げて、生徒の現状を説明して頂きました。私のミッションは、授業に参加して、生徒が抱える悩みの相談に乗ること、そして教員の授業の進め方に問題点を感じるところがあればフィードバックすることの2点です。夏休み中には、サマープログラムに携わることも、お引き受けすることになりました。セカンダリー・スクールは、日本の中学校・高等学校ですので、長年培ってきたプロフェッショナリズムを活かして、生徒たちのために尽くしたいと思います。

 2つ目は、Boys Training Centre です。日本で過去に「教護院」と呼ばれていた「児童自立支援施設」に相当する施設だと思われます。私にとっては、未知の世界に飛び込むことになりますが、愛情をたっぷりと注いで、一人一人の子どもにしっかりと向き合いたいと考えています。私のミッションは数学の授業のアシスタントです。特に進度の指定はなく、教材選定の段階から一任されていますので、実生活に根ざした話題を積極的に提案したいと考えています。もちろん、英語で語りかけますので、ハートに響く気の利いた話ができるように、あらかじめセリフを考えておく必要がありそうですね。

 自分自身が日々の生活を楽しむことことが、ボランティア活動にも必ず生きると考えて、趣味の活動も充実させることにしました。タピオン岬のカリブ海を一望することのできる丘に立つSchool of Music に、まずは夏休み期間中の3ヶ月間、入学することにしたのです。何と、カリブ海の自然を感じながらピアノ練習をすることができるんですよ。退職後に本腰を入れ始めたピアノですので、まだまだ初心者ではありますが、清々しい気持ちで演奏できるので、とても気に入っています。JICA駒ヶ根訓練所にある森のステージのピアノは素敵でしたが、岬の音楽学校のピアノも秀逸です。ともに、数十年前の設置者の思いが、今も生き生きと伝わってくるのです。

 夏休みの余暇の過ごし方について、青写真が出来上がりました。私にとって新たなチャレンジにはなりますが、困難を乗り越えることによって、徳を積みたいと思います。アカデミック・イヤー2025/2026の学生たちとの新たな出会いが、今から楽しみです。

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