2026/01/16 Fri
活動 生活
隊員Gのセントルシア日記_59 〜The First Anniversary〜

2025年1月8日にセントルシアに入国しましたので、まもなく派遣1年の節目を迎えることになります。協力隊の任期は2年ですので、折り返し地点ということになります。今回の日記では、2025年を振り返るとともに、新年2026年への抱負を書き綴りたいと思います。
結論として、「41年間の歳月をかけて、日本の私立中・高等学校で培ったプロフェッショナリズムを、協力隊活動に十分に活かすことができた1年。」と胸を張って言いたいところではありますが、中々そう上手くは行かなかった、というのが正直なところです。プロフェッショナリズムを口にするからには、もちろん専門性に留まることなく、責任感、倫理性、使命感、他者尊重の総体であることを認識しています。具体的には、私はサー・アーサー・ルイス・コミュニティー・カレッジが配属先ですが、「代数」「統計」「関数」「微積分」など数学の専門性については、英語の数学用語を使い慣れるに従い、十分にカレッジで通用するようになりました。また、倫理性についても、キャンパス内外を問わず、日本人として恥ずかしくない言動に努めてきたつもりです。そして、使命感については、「途上国の発展・復興への寄与」「帰国後の社会還元」という協力隊目標を忘れることなく、活動を進めることができました。他者尊重については、未だ「異文化理解の深化と共生」の途上ではありますが、私なりに慎重にレスペクトの意思を伝えることができた、と考えています。しかし、学生一人一人の成長に責任をもつことができたか、と問われるとき、自信をもって「イエス」と答えることができないのです。私のミッションは「数学の学力向上」ですので、最も肝心なところで、責任感をもち切れなかったことになります。

当初は、総括的評価(Summative Assessment)だけでなく、形成的評価(Formative Assessment)にも力を入れて、学力向上を目指したいという思いがありました。セメスター途中で、学生一人一人との1on1ミーティングを複数回実施して、励まし、勇気づける。また、フィードバックを提供して学習改善を促すことを考えたのです。ところが、1クラス20〜30人の規模を、3クラスも担当するとなると、100人足らずと面談することになり、物理的に破綻してしまいます。現実的な対応として、小テストのスコアの低い学生を優先せざるを得なかったのです。私が「学生一人一人の成長に責任をもつことができなかった」と答える理由の核心部分です。2026年からは、いよいよ私自身がLecturerとなって、単独で授業をすることになります。少なくとも私の担当クラスについては、学生との個別面談を継続的に実施して、彼らの成長にしっかりと責任をもちたいと思います。
また、セントルシアと日本の数学教授法の違いについて、大きな気づきがありました。未だ私の仮説ではありますが、セントルシアでは関数電卓が手元にありますので、帰納的な手続きが好まれます。例えば、x が0に近づく際の関数の極限値を調べる時に、実際に x に0.1、0.01、0.001、0.0001を代入して、関数が然るべき値に近づく様子を確認するのです。日本では、ちょっと考えられない世界ですよね。なぜなら、日本では関数電卓を使いませんので、関数の式を変形し、極限値を演繹的に求めざるを得ないのです。もちろん、日本では、関数のグラフを書いて、極限値をイメージすることが好まれています。抽象概念(極限)の理解をビジュアル情報(グラフ)が助けてくれるのです。セントルシアでは抽象概念の理解が少し希薄であると感じています。そこで、私は、様々な場面でビジュアル教材を用意して、学生の抽象概念理解を手助けしたい、と考えています。
ここまでのところをまとめると、私は、「1on 1ミーティングの実施」「数学教授法(セントルシア VS 日本)の違いの指摘」「抽象概念の理解を助けるビジュアル教材づくり」を、学力向上のための3本柱として、2025/26セメスターII以降の活動に臨むことになります。

さて、生活のリズムを整えるために取り組んできた、週1回のルーティン・ワークである「Vigie Lighthouseを折り返す7kmのジョギング」と「JICA海外協力隊の世界日記への寄稿」はとても順調です。どちらも、2年(約104週間)の任期に対して、100回・100話を目指しているのですが、2026年1月16日現在、7kmジョギング57回、世界日記59話を数えています。習慣というのは不思議なもので、最初は緊張感をもって取り組んでいたルーティン・ワークでしたが、今はもう完全に1週間のリズムの中に組み込まれています。一度サボってしまうと、もしかすると全てのリズムが崩れ、体調を悪くしてしまうかもしれませんね。現在は、少し欲が出て、「帰国後すぐに、フルマラソンに挑戦したい」「100話の世界日記を英語版に焼き直して、SALCC図書館に置きたい」と考えています。日本人の目から見たセントルシアについて、エッセイを読んだ学生たちはどんな風に感じ取るのか、と考えると、今からワクワク感が止まりません。ますます創作意欲が募ります。
SHARE





