JICA海外協力隊の世界日記

セントルシア便り

隊員Gのセントルシア日記 _46 〜The 30th Anniversary of JOCV in St. Lucia〜

 JICA海外協力隊のセントルシア派遣が30周年を迎えるにあたり、10月31日に記念式典が行われました。各隊員の配属先からの出席者と共に、過去30年の先輩隊員の活動実績を讃え、節目をめでたく寿ぐことができましたこと、心から嬉しく感じております。ありがとうございました。私は、記念事業の中で、過去の写真を整理して、記録ビデオを編集する作業を担当しました。今66歳の私も、30年前といえば36歳です。見れば、いくつかの写真に、私と同世代のJICA海外協力隊の皆さんが、生き生きと活躍する様子が写っているではありませんか。互いに異なる人生を歩みながらも、30年後、ここセントルシアにおいて微かなご縁がありましたことを、喜ばずにはおられませんでした。「皆さん、今も、お元気に活躍されておられますか。」「一度、同世代としてお会いして、お話をお聞きしたいです。」これまでに経験したことのない親近感。一方通行の片思いではありますけどね。

 これとは別に、JICAセントルシアの支所長が、過去の教育隊員の活動報告書(公開)を、事務所内で閲覧できるようにして下さいました。大先輩の皆さんの表情だけではなく、実際の活動内容に触れる機会にも恵まれたのです。「隊員による細やかな支援は、滞在中は実りが豊かなのだが、帰国後は(引き継ぐ立場の現場スタッフに負担感があり)中々定着しない実態がある」「スパイラル・カリキュラムの理想は高く掲げられているが、課題点も多い」「現役教員の研修だけではなく、教員養成課程にも踏み込んで、手を入れるべきではないか」など、2025年の現在にも通じる指摘を、生々しく読み取ることができました。令和の時代に入ってからのセントルシア派遣ではありますが、それでも、昔の隊員の皆さんは、やはり逞しさの次元が違いますね。私にとって、セントルシアJOCV30周年は、過去の歴史を紐解く貴重な機会を与えてくれました。私の活動に新たに時間軸が追加されたような充実感を、手にすることができています。

 同時に、今年度はJICA海外協力隊の派遣60周年を祝う年にもなっています。ご存知のように、2015年の国連総会において、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」としてSDGsが採択されました。そして、これに密接にリンクする形で、2021年は「JICAグローバル・アジェンダ」が策定され、SDGsの達成に向けて、国際協力に関する行動計画が示されています。しかし、世界情勢を鑑みるとき、気候変動の脅威や、感染症の猛威、覇権主義やポピュリズムの台頭、宗教対立による国際紛争などによって、「すべての人々が恐怖と欠乏から免れ、尊厳を全うすることのできる『人間の安全保障』」という人類の理想が著しく阻害されており、2030年までのSDGs達成が非常に危ぶまれる状況であると言わざるを得ません。先進国に暮らす私達でさえも、異常気象による災害や、極端な少子高齢化、覇権国家による暴挙に心を痛め、基本的人権・民主主義・平和主義の行末を案じる時代となっています。とりわけ、国際問題の影響を複合的に受けやすい、途上国に生きる人々の恐怖の大きさは、計り知れないのです。

 それだけに、我が国が果たすべき国際協力の重要性は、かつてないほど高まっている、と言うことができるのではないでしょうか。一国だけでは解決できない課題に向き合って、共生社会の一員として共に手を携えて、SDGsの実現を目指す取り組みは、尊くもあり、かつ非常に有益でもあると思うのです。

 協力隊60周年の節目は、初心に立ち帰る有益な機会を与えてくれました。私の任務は数学の学力向上ですが、あらためて「JICAグローバル・アジェンダ」に向き合って、大いに人づくりに励みたいと思います。「教育」の理念としてアジェンダで謳われている「良質な教育を提供し、 みんなが尊厳をもって 生きることができる 社会基盤を築く」を実現するために、「教科書や教材を開発し、学びを改善」「地域のコミュニティと学校との協働」「誰ひとり取り残さない教育を提供」「その国を牽引する拠点の大学をパワーアップ」という4つの協力方針に従って、全力で取り組みます。日記として綴り、言語化し直すことで、新たに心の奮い立つ思いがしています。

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