2026/07/25 Sat
アウトドア 自然
隊員Gのセントルシア日記_91 〜My Adventure on the Treasure Island〜

第87話で、「Good Old Days(古き良き時代)」についてお話ししたときに、無人島Rat Islandへの遠泳の例を挙げました。その中で、自然保護区の指定や、安全意識の高まりを受けて、今の子どもたちは遠泳をしなくなった、という時代の流れを紹介させて頂きました。そして今回、「それほど素敵な景色がそこにあるのなら、Good Old Daysを再現してみよう。」「無人島への遠泳を体験することで、より深くルシアンの気持ちを理解することができるかもしれない。」「日々のボランティア活動につながる何かを、得ることができるのではないか。」というワクワク感に背中を押され、3名のJICAボランティアとともに、小さな冒険に挑むことになりました。外的要因として障壁となるのは、Rat Islandが自然保護区であること。そして、プレジャー・ボート等が通る海域となっていること。また、内的要因としてのボトル・ネックは、本島から無人島までを往復する約600mの距離を、泳ぐ切る体力と気力です。

まず、Rat Island が自然保護区となっていることへの対応です。湿地を保全し、賢く利用しながら、次世代へ受け継いでいこうとするラムサール条約の精神が、大きなヒントとなりました。監督官庁である森林局に、持続可能な形で、自然と戯れることの意義を訴えたのです。ルシアンの心をより深く理解することにより、国のために奉仕する活動をより豊かなものにしたい、という大義を掲げて、森林局に「Rat Islandへの上陸許可申請」を行ないました。そして、森林局からは、予想の範囲内の条件は付されましたが、首尾よく上陸許可を得ることができました。
・上陸は、砂浜部分に限ること。内陸部分には侵入しないこと。
・動物、植物、石、砂、貝など、自然界のいかなるものも、持ち帰ってはならない。
・ゴミを島に残すことがあってはならない。必ず持ち帰ること。
・巣作りをする鳥や爬虫類などが、活動を妨げられたり、触られたり、餌を与えられたりすることが、あってはならない。
・火おこしやキャンプ、野外料理、宿泊などは、あってはならない。
次は、プレジャー・ボート等が通る海域になっているため、スイマーと接触するリスクがあることへの対応です。遠泳中の人影は、海域通行中の船からは認識しにくいことが原因です。このリスクを解決するために、協力隊員の一人が懇意にしている漁師Mさんに、漁船を出してもらうことにしました。大きな目印があれば、誰も無理に近づいてくることはないだろう、と考えたのです。漁師Mさんは「みんなの喜ぶことは、何でもするよ!」と、とても大らかな心をもつ、気っ風のいい人でした。ただ、甘えるわけにはいきませんので、ガソリン代程度は、受け取ってもらうことにしました。
そして、内的要因である、泳ぐ隊員の体力や気力への対応です。スイマー自身が事前に、体力トレーニングに励むことや、「泳ぎ切るぞ」とマインドを高めることは、もちろん大切です。それに加えて今回は、同行する漁船に対して、「遠泳実施の目印」としての役割だけでなく、「指揮船」や「救助船」としての性格も持たせることにしました。すなわち、他の隊員仲間に、漁船に乗り込んでもらって、「がんばれ!」と励ましの声をかけてもらったのです。そして、「大丈夫?」と消耗度を確認する声をかけてもらい、もしもの時は、救助浮き輪を投げてもらうことにしたのです。

さて、当日はセントルシアらしい晴天に恵まれて、絶好の遠泳日和となりました。折しも、干潮の時刻を調べて実施しましたので、潮位が低く、海底もよく見えます。やはり、透明度の高い海は、私たち泳者に高揚感を与えてくれますね。また、この無人島は湾内に浮かんでいますので、波も穏やかで、とても気持ちよく泳ぐことができました。Rat Island へのオープン・ウォーター・スイムが「Good Old Days」の象徴として、今も輝きが褪せない理由がわかるような気がします。
実際のコースは、上の画像の通りです。左上が無人島・Rat Island、右下が本島の岸(出発点・帰着点)になります。浜辺から浜辺へというのが遠泳の鉄則(疲れていても、浜辺なら四つん這いで、安全にゴールできます。)です。画像の右上から左下に向かって、潮の流れがありますので、行きは赤色のコースを、帰りは黄色のコースを泳ぐことにしました。潮に流されることを想定したコース取りでしたので、期待どおり泳ぎやすかったように思います。また、画像からわかるように、浅瀬がたくさんあります。干潮の時間帯を選びましたので、足が海底に着くところもたくさんありました。もしかすると、浅瀬伝いに歩いて行けば、実際に泳ぐ距離は半分の150mくらいで済むのかもしれません。しかし、岩に付着した貝類で足の裏を切る危険性がありますので、浅瀬を歩くことは考えませんでした。(私は、念の為に靴下を履いて泳ぎました。靴を履いて泳いだ隊員もいます。)逆に浅瀬を避けるコースを泳いで、距離感を味わうことにしたのです。
私は、根っからの冒険好きで、今回も様々なリスクを囲い込みながら、ドキドキ感やワクワク感を味わうことができたことを、とても喜んでいます。今後も、カリブの海深く潜ったり、最高峰の頂きに立ったりする夢を描きながら、大好きな宝島での冒険の旅を楽しみたいと思います。

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