JICA海外協力隊の世界日記

セントルシア便り

隊員Gのセントルシア日記 〜Fibonacci Numbers in St. Lucia〜

 実は、私たちの営む生活の中には、様々な数式が隠されています。まるで天地創造の神がわざと指紋を残してくれたのではないか、と思えるほどの傑作ばかりです。私はセントルシアの数学学力向上のために活動をしていますが、実生活に即した話題を提供して、こども達と数学の距離を出来る限り縮めるように心がけています。今回は、読者の皆さんにも、実生活の中に潜む数学の魅力をお届けしたいと思います。お楽しみ頂ければ幸いです。

 皆さんは、フィボナッチ数列という数字の並びをご存知でしょうか?

1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, …

1+1=2, 1+2=3, 2+3=5, 3+5=8, 5+8=13, 8+13=21, 13+21=34, …という様に、どの数字も前の2つの数字を足したものになっています。これが、自然界の中にひっそりと隠れているというのですから、不思議ですね。神業という以外に、適切な表現を思いあたりません。なんと、セントルシアの美しい花々も花びらは、1枚、2枚、3枚、5枚、8枚、13枚…になっているのです。花々を愛でる気持ちと共に、彼女たちの進化の過程に想いを馳せるとき、全くの門外漢ではありますが、どんどん想像力が掻き立てられていきます。

 上の図は、フィボナッチ数列の数字を1辺の長さにもつ正方形を、どんどん敷き詰めていったものです。面積が、

1自乗、1自乗、2自乗、3自乗、5自乗、8自乗、13自乗、21自乗、34自乗、…

となっています。これらの正方形の中に、赤い4分の1円を描いて、次から次へと繋げていくと赤い渦巻きが出来上がります。この渦巻き、見覚えはありませんか。そうです。この図に、ハリケーンの雲の渦巻きがピタリと重なるというのです。著作権の問題がありますので、ここで重ねる作業はできませんが、後で該当するWEBページを参照してみて下さいね。

 次に、フィボナッチ数列の隣り合う2数の比に注目してみましょう。

1/1, 1/2, 2/3, 3/5, 5/8, 8/13, 13/21, 21/34, …

実はこの比は、最も美しいと言われる黄金比1/1.618… にどんどん近づいていくのです。この比率は、古代ギリシャの建築や美術にも使われたそうです。先ほどの図の中には、長方形がいくつか隠れていますが、その縦と横の長さの比率が、黄金比に近づいていくのです。

1:1, 1:2, 2:3, 3:5, 5:8, 8:13, 13:21, 21:34, …

「ハリケーンは美しいですか?」とは口が避けても問えませんが、この渦巻きは他にも、ミクロ世界ではヒトのDNA二重螺旋構造、マクロ世界では宇宙の渦巻銀河にも見られると言います。自然や宇宙の中に、神秘的な美の法則が見事に隠されているのです。

 最後に、円360度をこの黄金比1/1.618… で分けてみましょう。そうすると、

137.5度 : 222.5度

となり、黄金角と呼ばれる最も美しい角、約137.5度が出てくるのです。今回は、セントルシアの植物の中に、この黄金角を見つけてみました。

 どちらの写真も、最も若い葉3枚に注目して下さい。葉① → 葉② → 葉③ の順に生えてくるのですが、葉①と葉②、そして葉②と葉③のなす角度が、共にほぼ黄金角137.5 度であるのです。渦巻上に黄金角を保ちながら葉をつけていく様は、その植物の気品高い美意識なのでしょうか?どうやら、それぞれの葉が最も太陽光線を受けて光合成をしやすくする為に、黄金角が保たれている様です。美しさが機能性も兼ね備えているとは、母なる自然界への畏怖の思いがますます募ります。

「真実を探究する活動は実に楽しい」 セントルシアのこども達に伝えたい心です。

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