2025/04/07 Mon
イベント 現地生活 音楽
Ozzie Note 9 スチールパンの見学へ
こんにちは、2024年度2次隊の尾﨑です。
今回は、私の家の近くにあるスチールパングループについて書きます。みなさんは、スチールパンという楽器をきいたことがありますか?ドラム缶の表面をへこませそれを先が柔らかいスティックで叩いて鳴らす打楽器です。カリブ海のトリニダード・トバゴという国で生まれセントルシアでも広く普及しています。かつて占領していたイギリス政府によりトリニダード・トバゴではドラムの仕様が黒人に対して禁止されていました。代わりに竹の棒などを地面に打ち鳴らして演奏していたことから発展し、身近にある缶類を叩き出したそう。そんな中ドラム缶の叩く場所によって音が変わることに気づき楽器としての進化を遂げたという歴史があります。学校の音楽の授業などでも使われることがあり、国内では時期ごとに大会のようなものがあり、いくつかのグループが演奏を競い合うそうです。音楽好きの私はぜひこの楽器を演奏してみたいと思い現地コミュニティを訪ねてみました。
最初は見学だけの予定でしたが、実際に行ってみるとせっかくだから鳴らしてみなと管理者の方が声をかけてくれて、中学生くらいの奏者の1人が曲を教えてくれました。スティックはドラムよりかなり短く、先には柔らかいクッションのようなものがついていました。私が挑戦したベースのスチールパンは4本のドラム缶で構成されており、走者を囲むように配置されていました。低音を出すためには叩く面の面積が大きい必要があるのでその分、音の数を確保するために多くの缶に囲まれます。逆に高い音のなる缶は小さなものが1つだけで、1つずつの音を鳴らす面がとても小さく正確に音を鳴らすことが難しいようでした。


新しいメンバーが曲にチャレンジするときは、すでにいる上手な人が隣で教えてくれます。驚いたことに楽譜などはありません。曲自体は彼らの体と耳に染み込んでいるものを横で見て、聞いて、習得します。音はスチールパンの表面にC、B♭、F♯などと書いてあるものの体の動きでほとんど感覚的に曲を覚えているようでした。リズムは耳で聞いて口で一緒に歌いながら練習しました。合奏が始まると最初はゆっくりのテンポからだんだん速くなっていき、私はついていけなくなりましたが、他のメンバーはみんな綺麗に拍が揃っています。各パートごとにシンクロする手や体の動きで合奏する様子は見ているだけでも楽しく、感動できるものでした。セントルシアの人々と音楽を通して少し繋がれた気がします。
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