2025/09/03 Wed
現地生活 食べ物
隊員Gのセントルシア日記_35 〜Culinary Skill〜


セントルシアの海外協力隊員は皆、一人暮らしをしています。派遣国によっては、隊員がホームステイをするケースもありますが、私たちは掃除、洗濯、ご飯炊き、全てを一人で行なっています。すなわち、協力隊活動に携わることによって、同時に海外一人暮らしのスキルを磨くこともできるのです。ご想像の通り、一人暮らしは気ままです。私は、ナイならナイで工夫することを楽しむタイプの人間ですので、家事に特別な負担感を感じることはありません。しかし、寂しいです。一人暮らしの経験がなく、65年間ずっと家族に囲まれて暮らしてきましたので、この寂しさは、必ず乗り越えなければならない課題となりました。マーケットで買い物をし、調理する。食器や調理器具を洗い、ゴミを出す。また、掃き掃除をし、モップがけをする。トイレ掃除をし、浴室を洗う。そして、衣類や寝具を洗濯し、外に干す。洗濯物が乾いたら取り入れ、たたむ。必要なものには、アイロンをかける。一般市民と同じ目線に立って生活することで、見えてくる課題もある、と自分自身に言い聞かせて、寂しさを紛らわせることにしました。
今回は、私の拙い料理メニューをご紹介することで、海外協力隊の日常生活の一端をお知らせすることができれば、と思います。まず、夕食ですが、配属先のカレッジの業務を午後4時過ぎに終了すれば、午後5時前にはもう自宅に着いていますので、十分に夕食準備を楽しむことができます。最初のうちは、簡単なスープと野菜炒めくらいしか作れませんでしたが、次第に、スープに鶏肉を入れてみたり、野菜炒めにカボチャを入れてみたりするようになりました。そして、大きな変化はカレーです。それまでは、日本製のカレー・ルウが手に入った時のみ、「やったぁ!」と歓声をあげながら、カレーを作っていました。ところが、日本人は、どうしてもカレーが食べたくなります。同期隊員が、小麦粉があればカレールウを自作することができる、と教えてくれたのをきっかけに、優先順位を上げてカレーを作るようになりました。コツは冷凍ベーコンをカレー肉の代わりに使うところです。言い忘れましたが、一度に作るのは、鶏肉スープも野菜炒めも2食分です。冷蔵庫に残りを保存すれば、翌日は調理をすることなく、夕ご飯を楽しむことができるのです。ただし、カレーだけは、美味しいので3〜4食分を作ることにしています。セントルシアのソウルフードであるダシン(タロ芋)は、湯がいて主食として、お米の代わりに食べています。おそらく、ルシアンは知らないでしょうが、ダシンと醤油の相性がとても良いんですよ。


朝食は、焼きたまご、レタス、チーズを具材として、サンドウィッチを作っています。レタスはローカル・プロダクトで美味しいので、この機会に生野菜としてたくさん食べるようにしています。ミルクは毎朝欠かせませんので、常温長期保存が可能な安い牛乳を購入して、家計を助けています。休みの日の昼食は、昼と夜の2食分を用意するために、ナポリタン・スパゲッティやお好み焼きや焼きそばを作ることがあります。スパゲッティも、どうしても食べたくなる時がありますので、ケチャップと牛乳とブイヨンでソースを作ります。今の時代、インターネットのレシピを参照すれば、隊員G(爺)でも、忠実にその味を再現できるのです。また、お好み焼には、ふつう和風だしが必要ですが、現地では高価で手に入りませんので、ブイヨンを代用して生地を作っています。これが案外いけるんですよ。皆さんも、一度味変してみませんか。焼きそばに関しては、残念ながら焼きそばソースを手に入れることができません。(セントルシアは、台湾と国交があり、台湾人も多く在住していますので、乾麺は安価で手に入りやすいです。)そこで、一度BBQソースを試したのですが、あまり相性が良くありませんでした。やはり、醤油で和風焼きそばとするのが、安全なのかもしれません。


最後に、お菓子編です。知人や友人の誕生日には、キャロットケーキを焼くようにしています。日本でも家族のために、記念日ごとに焼いていましたので、経験値は少しありましたが、耐熱皿や重曹、クッキング・パウダー、シナモン・パウダーなどの初期投資が必要でした。クリーム・チーズやクルミも非日常品ですので、全てを現地調達できた瞬間には、大喜びしました。これで、何度でもキャロット・ケーキを再現することが可能になったのですから。そして、その辺りのケーキ食材が手に入ると、派生的にクッキーやフレンチ・トーストなど、スイーツ作りを楽しむ余裕も出てきました。やはり、コーヒーとの相性が抜群ですので、癒しになります。もう一つのローカル・ソウルフードであるプランティンは、熟したものをチップにして炒め、おやつとして食べています。やはり、ローカル品は、気候・風土に合っていて、美味です。
JICA海外協力隊の任期中は、まだまだ一人暮らしのスキルに磨きがかかっていくことでしょう。帰国後に再開する、奥さんとの暮らしが、より豊かなものになりそうな予感がします。そう思うことによって、寂しさも少しずつ紛れていくのかもしれませんね。
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