JICA海外協力隊の世界日記

セントルシア便り

学校農園のまとめを作っています。

2023年1次隊 セントルシア派遣 野菜栽培 里見洋司

セントルシアに派遣され、既に18ヶ月が過ぎました。セカンダリースクール訪問も各校70回を超えようとしています。毎週通い、栽培方法の改善を試行したり、作業を手伝ったりしながら、野菜の栽培や生育を記録してきました。農業担当の先生は、兼業農家の方が多く、野菜栽培の基本知識や技術は十分に持っています。生育が悪化したり、病気が発生したりした時は、すぐにスマホでWeb検索して調べます。一年中、高温多湿の気候下での野菜栽培経験は、彼らの方が遥かに多いので、野菜の栽培や学校農園の管理に対して、私がアドバイスする場面はほとんどない。と1年目が終わるまでは思っていました。

2年目になり、蓄積された記録を元に資料を作成し、各学校の農業教員と校長に説明しながら渡すようにしました。各野菜の栽培準備から収穫終了までをまとめた「野菜栽培のまとめ」と学校農園の区画ごとに栽培してきた野菜の輪作状況をまとめた「学校農園のまとめ」です。これらは、自分自身の情報整理を目的に作った資料でした。しかし、予想しない大きな反応がありました。各先生方から「こんな資料は見たことがない」「作りたいとは思っていたが、今まで出来なかった」「他の野菜についても作って欲しい」と絶賛されました。この反応を受けて、私は、この国の人達は記録が無くても何とかなるものは、義務づれられなければ、記録を取らないのだ。と確信しました。事実、義務づけられるスーパーへの出荷記録はきちんと整理されていました。     

常夏のセントルシアですが、トマト、スイカ、豆類には、旬があり栽培が難しい時期があります。これらは元々、乾燥した気候や土壌を好む野菜であり、トロピカル気候には向いていないからです。しかし、その他の芋類、葉物類やキュウリなどはいつでも栽培できます。一年中気候や日照時間が変わらず、同じように野菜が栽培できる。失敗したら、また播種したり、移植したりすれば良い。季節や気象がめまぐるしく変化する日本と違い、記録が無くても、致命的なことは起こらない。こうした風土が陽気で日々のさりげないことを楽しみ、細かなことにこだわらない性格を育んできました。でも改善には記録が必要です。記録をまとめ、比較することで、合理的な改善方法を考えることが可能になります。私の意図は既に理解されています。あとは、彼らが自ら行うだけです。それを信じ、残りの任期にてより役に立つまとめづくりが出来るよう頑張ります。

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