2026/01/11 Sun
文化
隊員Gのセントルシア日記_56 〜Christmas in St. Lucia〜

やはり、Christianity(キリスト教信仰)に囲まれて過ごすクリスマスには、格別な風情がありました。セントルシア国民の約9割以上がキリスト教徒ですが、約6割はローマン・カトリックの信者であると言われています。最終的な統治国はイギリスですので、英国国教会(アングリカン)が多数派であろうと、私は思っていました。しかし、実際には、フランス植民地時代の影響を大きく受けており、特に島西部の海岸沿いのコミュニティーには、ローマン・カトリックが根づいたようです。セントルシアらしい英仏の二重構造ですね。首都カストリーズには、ローマン・カトリックの大聖堂があります。私は、12月25日の大聖堂でのクリスマス・ミサに、ゲストとして参列しました。こども達が家族と共に参加するミサでしたので、司教は「聖なる家族になりなさい」「お母さんはマリアになりなさい」「お父さんはヨセフになりなさい」と説教していました。司教のこども達への語りかけは、優しさの中に、力強いメッセージが込められたもので、とても説得力がありました。特に、イエス誕生のジオラマへと、こども達を導いて、神の子が納屋で生まれた意味を説く場面は、異教徒の私にとっても感動的な光景となりました。そして、クライマックスとなるパンと葡萄酒の儀式は、とても厳粛で、教会全体の空気が張りつめました。聖体を体の中に迎え入れる際の、信者の皆さんの尊い表情は、今も忘れることができません。

セントルシアはご存知のように熱帯ですので、半袖・短パンで過ごし、ビーチやプールで泳ぐことのできる、クリスマス休暇となりました。日本であれば、クリスマス寒波がやってくる時節ですので、全く似つかわしくない気候です。しかし、英語を母国語とし、キリスト教を信仰する国で聴くクリスマス・ソングには、喩えようのない相応しさがありました。私は、元々日本で暮らしている頃から、ナット・キング・コールやフランク・シナトラらの歌う英語のクリスマス・ソングが大好きでした。ところが、セントルシアで耳にする彼らの歌声は、涙が出るほど心に沁みるのです。もしかすると、私がピアノで「ホワイト・クリスマス」などの演奏を楽しむようになったことが、遠因しているのかもしれません。しかし、言語や宗教は、生活文化を形づくる上で、最もベースとなる背景です。従って、ご当地ソングとは言えないのですが、同じような文化背景の中で育まれ、愛され続けた名曲は、やはり人々の心に響くのだと思います。うまく説明し切れないのが、少し口惜しいのですが。

伝統的なクリスマス料理を味わう機会にも恵まれました。まずは、Stuffed Chicken。七面鳥は高価ですので、鶏肉にパンや香味野菜やハーブなどを詰めてローストしたものを、配属先カレッジのレストラン・メニューとして、料理専攻の学生達が振る舞ってくれました。そして、クリスマス・フルーツケーキ。私はローカルの知人から頂いたのですが、レーズンやチェリーやオレンジピールなどのフルーツを、その方は、なんと1年間ラム酒に漬け込んで熟成させた、と言っておられました。アーモンドやクルミなどのナッツ、ナツメグやシナモンなどのスパイス、そして黒砂糖も相まって、とても重厚感のあるケーキに仕上がっていました。かつてカリブの植民地経済を支えたサトウキビから作られる砂糖とラム酒。いわゆる過去の記憶が詰め込まれた伝統菓子でもあるのです。長期保存可能と言いますから、物理的な重みだけでなく、時間軸上でもその存在感をアピールしているかのようです。最後に、ローカルジュースSorrel。ハイビスカスのガクを乾燥させたものを使った飲み物です。紅色で少し酸味があります。私は、ラム酒を入れたものを頂きました。フルーツケーキと共に、クリスマスをお祝いするために各家庭で作り、味わうと言いますから、家族の味として受け継がれているのかもしれませんね。家族を離れて、まもなく1年が経過しようとする私にとっては、あまりにも羨まし過ぎる話です。
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