JICA海外協力隊の世界日記

セントルシア便り

隊員Gのセントルシア日記_57 〜Small Villages〜

 カレッジのセメスター・ブレイク期間を利用して、セントルシアの小さな村を訪れてみることにしました。大西洋側(島の東部)のDennery、Micoud、Vieux Fortには、これまでに行ったことがありましたので、今回はカリブ海側(島の西部)を巡ることにしました。世界遺産のピトン山や泥温泉などがあるスフレには何度も足を運んだことがあったのですが、その途中にある村、Anse La Raye、Canaries は、気になりながらも、なかなか訪れる機会がなかったのです。島の西部に位置する海岸沿いのコミュニティーは、フランスによる植民地統治の影響を色濃く受けている、と事前に聞いていましたので、好奇心に胸を膨らませて訪問することになりました。

 Anse La Raye はフランス語に基づく地名で、「エイの入り江」という意味であると考えられています。漁師の村であり、JICAもこれまでに村の漁業発展のために様々な援助を行ってきました。あるローカルは、私が日本人であることを知ると、「日本はあの漁業施設を建ててくれた。この建物も建ててくれたんだぜ。」と矢継ぎ早に、日本の貢献について紹介してくれました。彼なりに、賞賛のシャワーを浴びせてくれたのです。そして今回、最も私の心をとらえたのは、村の中心部にあるローマン・カトリックの教会です。フランスの植民地統治の記憶が詰め込まれている、と言っても過言ではないでしょう。教会内には、イエスの誕生、受難、復活など、聖書に描かれている様々な物語が、ジオラマや立体彫刻の形で再現されていました。また、外には、網を使った漁、川での洗濯、カーニバルの様子など、村の産業、生活、文化を表現した壁画が描かれています。遠い昔には、識字率の低さを補う教材としての役割があったのかもしれませんが、今でも、私たちのビジュアルへの訴えかけが色褪せることはありません。そして、人々は誰も皆、とても親切でした。不安そうに見える部外者の私に対して、トイレの場所まで案内してくれたり、美味しいテイクアウトのランチを提供してくれるお店を紹介してくれたり、クリケットに興じる少年たちは気軽に写真撮影に応じてくれたりしました。宗教の教えである奉仕が、心地よく実践されているコミュニティーであったのです。

 Canariesもまた、漁師の村です。12月30日に訪れましたので、近い将来村の漁師となるであろう少年達は、学校が休みです。従って、皆、ビーチで波と戯れることに勤しんでいました。海が好きでないと、漁に出ることはできないでしょうからね。ここCanariesにも、フランスによる植民地統治の影響を大きく受けたと思われるローマン・カトリックの教会がありました。残念ながら、中に入ることはできませんでしたが、共同体の心の拠りどころとなっていることは、火を見るより明らかでした。会う人、会う人が、皆とても親切で、隣人愛を奉仕という形で表現してくれたのですから。しかし、約2000年前の教えが、山が海岸線に迫るほんの小さなコミュニティーにおいてさえ、実直に守られているとは、やはり宗教の力は凄いですね。Canariesには、屋外数箇所に水道の蛇口があります。聞けば、家庭内に水道が普及する以前から、この公共給水栓は使われてきた、とのことです。一昔前は、バケツを持って洗濯、掃除、調理用の水を汲みにくる共同の水汲み場であったわけです。そして、この公共蛇口が今も残されている理由は、水道代が払えない家庭のためにセイフティーネットが必要だから、ということなのです。水は共同体の資源という考え方に、助け合いながら奴隷制度の苦しい時代を生き抜いてきた先人達の姿が重なります。これもまた、宗教の力なのでしょうか。

SHARE

最新記事一覧

JICA海外協力隊サイト関連コンテンツ

  • 協力隊が挑む世界の課題

    隊員の現地での活動をご紹介します

  • JICA 海外協力隊の人とシゴト

    現地の活動・帰国後のキャリアをご紹介します

  • 世界へはばたけ!マンガで知る青年海外協力隊

    マンガで隊員の活動をご紹介します

TOPへ