2026/08/28 Fri
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隊員Gのセントルシア日記_96 〜Cricket Culture〜

セントルシアでは、旧宗主国・イギリスの影響を受け、クリケットがとても人気のあるスポーツになっています。大人も子どもも、自ら草クリケットを楽しみつつ、プロチーム・Saint Lucia Kingsの応援にとても熱心です。野球への関心は皆無ですので、日本人の私としては、少し寂しい気持ちになります。しかし、セントルシアで暮らす以上、クリケットの何たるかを会得することが、国民感情を理解する上で大切ではないかと思われます。そこで、プロリーグ(CPL)の公式戦(T20)を観戦して、観客の熱狂ぶりを確かめてみることにしました。とは言うものの、私には、クリケットに関する知識がほとんどありません。まずは、ベーシック・インフォメーションを収集するところから始める必要がありました。
クリケットのT20は、通常のクリケットを1イニング最大120球(6球×20)に短縮した、テンポの良いゲームです。各チーム11人編成の2チームが対戦し、それぞれ1イニングだけ攻撃します。1イニングあたり最大120球が投じられるのですが、10人がアウトになれば、その時点で攻撃終了となります。バッター(打者)が打った後、2人のバッターがピッチの両端から走り、入れ替われば、1点。往復すれば、2点。3回入れ替われば、3点。ボールを遠くまで打って、転がりながら境界線に達すれば、4点。ノーバウンドで境界線に到達すれば、6点が加算されます。
逆に、バッターがアウトになるのは、打ったボールを直接キャッチされた場合。空振りなどで、ボールがWicket(打者の後ろにある3本の縦棒と、2本の横木)に当たった場合。バッターが走っている間に、ボールを投げてWicketが倒された場合。そして、バッターが足(レガース)にボールをわざと当てて、Wicketが倒れるのを防いだ場合、となっています。
ボウラー(投手)にも制限があり、通常、1人のボウラーが投げられるのは最大24球(6球×4)です。従って、最大120球を投げるためには、5人のボウラーが必要となります。
さらに、T20においては、エキサイティングな特別ルールがあります。最初の36球(6球×6)はPowerplay呼ばれ、守備側は、境界線付近に配置できる野手が最大2人に制限されているのです。攻撃側としては、この時間帯が大量得点を狙うチャンスであり、ゲームがダイナミックに動く可能性があるのです。

クリケットは、イギリス統治時代にカリブ諸国に持ち込まれました。特に、セントルシアをはじめ、ジャマイカ、バルバドス、トリニダード、ガイアナなどで、盛んに行われるようになりました。そして、1928年にイギリス領植民地チーム「West Indies」として、クリケットの国際舞台に登場することになったのです。その後、各国は次々と独立していくのですが、クリケットについては統一チームを維持する道が選ばれました。セントルシアのような小国であっても、国際試合で活躍する選手を輩出することのできる仕組みです。そして、見事に、1975年(第1回)と1979年(第2回)の男子ワールドカップ大会において、「West Indies」は連続優勝しています。後に、セントルシア出身のダレン・サミー選手が、キャプテンとして「West Indies」を率いました。彼の栄誉を讃えて建設されたDaren Sammy Cricket Groundにおいて、私は今回、クリケットを観戦する縁に恵まれたのです。

さて、試合開始は午後7時です。昼間の暑さを避けて、ナイト・ゲームとして行われています。観戦当日は、金曜日でしたので、1週間の仕事を終えたルシアンたちが、週末の始まりを待ち侘びたかのように、続々と集まってきます。そして、ほとんどの観客が応援グッズをもってきているではありませんか。Kingsのチームカラーであるカリビアン・ブルーのTシャツ、帽子、フラッグ。スタンドがカリブの海の青さで埋め尽くされていますので、ファイン・プレーでアウトをとったりすると、全ての観客が大喜びして、会場全体が波打っているようにさえ見えます。CPL(Caribbean Premier League)は、セントルシアをはじめ、トリニダード・トバゴ、ガイアナ、バルバドス、アンティグア・バーブーダ、セントクリストファー・ネービス、ジャマイカの7つのカリブ諸国から1チームずつ、計7チームが参加しています。従って、例えばセントルシアで行われる公式戦の観客は、ほとんど全てがSaint Lucia Kingsを応援します。相手チームにしてみれば、いわゆる「完全アウェー」の状態で戦うことを、余儀なくされるのです。
まるで、血が騒ぎ、魂が揺さぶられるような感覚の中、鍛え抜かれた選手たちの素晴らしいプレーに、拍手と声援を送ることができました。異邦人の私には、観客であるルシアンたちの高揚感を推し量ることはできません。しかし、彼らが、自分たちのクリケット文化を愛し、そして祖国セントルシアに誇りをもっていることだけは、紛れることのない真実のようです。
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