2025/11/27 Thu
文化 生活
隊員Gのセントルシア日記 _48 〜Saint Lucian English〜

第46話で、JICA海外協力隊のセントルシア派遣が30周年を迎えたお話をさせて頂きました。創成期から現在に至るまで、すべての隊員の現地語学研修に携わって来られたL先生が、その功績を讃えられて、記念式典において顕彰されています。「30年前は、日本人ボランティアにとって、決して容易な状況ではなかった。しかし、隊員の皆さんにはレジリエンスがあり、よき日本の親善大使を務めてくれた。」と回想しておられたのが、とても印象的でした。どうやら当時は、各隊員と配属先との間に入って、単なる語学教師で終わることのないサポートをしながら、共に創成期を築いて下さったようです。

さて、このL先生の話す英語が、現地ルシアンの喋る英語とは全く異なるのです。聞けば、「私は、ローカル(現地人)の発音にならないよう、気をつけている」とのことでした。海外で学位を修得し、高い教養を有していると思われるカレッジの同僚の先生でさえ、平気でアクセントが外れます。従って、彼女が発音矯正に懸けた情熱には、並々ならぬものがあったことが想像されます。一方で、私は、セントルシア英語に今も苦労しています。「(こんなことになるのなら)現地語学研修のときに、セントルシア英語の特徴を教えておいて欲しかった!」と、(後輩隊員のために)L先生に苦言を呈すことさえ考えているのです。今回の日記では、私なりに、セントルシア英語の特徴をまとめておきたいと思います。今後、読者の皆さんがセントルシアを訪れることになった際に、少しでもお役にたてば幸いです。

まず、英語と共に、かつての交易言語であったクレオール語(フランス語系)も話されていますので、突如としてコードスイッチングが行われることがあります。以前、シンガポールを訪れた時に、英語と中国語の間のコードスイッチングを体験したことがありますので、想定内の状況ではあります。しかし、クレオール語にスイッチが切り替わってしまうと、もう全く話について行くことができなくなります。
次に、アクセントの位置が、私が学んできた英語とは異なります。ホスピタ〜ル、イグザクトリ〜ィなど、最後の音節にアクセントが置かれることが、とても多いのです。また、前置詞+目的語の強弱も、Wait FOR me.やAre you WITH me?など、後ろの目的語ではなく前置詞の方が強く発音されることがあります。とにかく、リズム感が違うのです。裏拍が強調されるリズムと言えばレゲエですので、とてもカリブらしい話ではありますが。
そして、thサウンドで舌が噛まれることはありません。これはフランス語系のクレオールにthサウンドがないことに起因しているようです。「there」は、申し訳ありませんが、私には「デア」としか聞こえません。「thirty」に至っては、もしかすると彼らなりに努力しているのかもしれませんが、少なくとも私には「ファ-ティ」としか聞こえません。金額を提示された時に、30ドルか40ドルかわからない、という隊員仲間の話をよく耳にします。
また、語尾の発音が弱いことが挙げられます。これは、フランスで語尾の子音が発音されないところの影響を受けているのではないかと思われます。「forty」と「fourteen」が、恥ずかしながら私には全く区別がつきません。これまた、金額を提示された時に、14ドルを40ドルと聞き間違うという失敗談が、どの隊員にも一度や二度あるのではないでしょうか。「fourteen」こそ、ラスト・シラブルにアクセントを置いてよ!と言いたくなりませんか。
その他、例えば、ラム・パンチをラム・ポンチと発音しているように聞こえます。これは、クレオール語に /ʌ/ の発音がないためで、 /ɔ/ に近い音が代用されているようです。日本人が最も得意な曖昧母音の発音ですので、教えて欲しければ、いくらでも教えますよ。
最後に、現在進行形でbe動詞が省略されたり、現在完了形でhave動詞が省略されたりしているようですが、これは分詞構文にも見られる現象ですので、私個人的には、余り抵抗はありません。以上、セントルシア英語の特徴を、私なりに書き出してみました。分かってはいるのですが、実践で使えるかどうかは全く別の問題です。生活英語(English as Second Language)ですので、結局のところは、慣れるしかない、のかもしれませんね。
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