2025/06/13 Fri
助産師 小学校 思春期教育 活動
セネガルで生理の話
おはようございます。こんにちは。こんばんは。
セネガルで助産師隊員として活動している三井華奈と申します。
主な活動としては、配属先の病院にて栄養不良児の治療継続のための改善活動や、地域の保健ボランティアへ母子健康手帳の有効的な活用方法について伝える活動をしています。
先日、同任地にいる小学校教育隊員のお力添えもあり、セネガルの小学校の5,6年生向けに生理の授業を実施しました。
生理の授業をする活動が必要だなと思った背景には、
・セネガルはイスラム教徒が95%の国で、コーラン(イスラム教の聖典)の勉強をしてから、公立の学校に通い始める子がいる
・進級テストに合格できずにいる子がいる
・幼稚園に通っていた子は6歳から小学校に通える
そういった点から、日本でいう小学校6年生のクラスに、11〜18才くらいの子が一緒に勉強をしています。(自分の年齢がわからない子もいます)
・セネガルの小学校には保健室という存在はなく、
生理についての話をする先生もいれば、話をしない先生もいる現状。
・セネガルでは一般的には、性についての話をすることがタブーとされており、
家庭で生理についても話をすることも少ない。
そんな背景があり、生理の授業をしようと活動として取り組みました。
1校目で生理の授業をした時は、私がフランス語(セネガルの公用語はフランス語)を話し、マトロン(資格のある産婆さん)に現地語のウォロフ語で説明をしてもらいました。
当日風邪をひいていて声の通らない私、そして拙いフランス語ということもあり、ほとんどマトロンと学校の先生が話してくれました。


イスラム教という宗教的に、性の話を公で話すことや、生理の話を男子生徒に話すことに難色を示す学校や先生方ももちろんいらっしゃいました。
しかし、男子生徒は今まさに、お母さんやお姉ちゃん・妹、友達、周りにそういった女性・女子がいます。そして、いずれ好きな人ができて、結婚し、子どもができて、その子どもが女の子かもしれない。生理を正しく理解し、そういった周りの女性・女子に対して、思いやりを持って接することができるように、男子生徒も一緒に講話を受けることに私はこだわりました。
今回はマトロンや先生方も理解を示してくださり、男子と女子一緒に講話を聞くことが実現しました。
男子生徒は茶化すこともなく、真剣に話を聞いてくれていて、また、みんなの前で質問をしてくれた男子生徒もいました。
一般的に性の話はタブーとされる環境で育っていても、学校の授業として学習し、生理に向き合い、疑問に対して素直に質問してくれたことに嬉しく感じました。
もちろん女子生徒からも講話中、そして講話後もたくさんの質問があり、セネガルにおける生理の授業の大切さも感じました。
2校目の学校は、町の中心から5キロ外れたところにある小学校で、
1つの教室に1人の先生で、2学年(小学校5,6年生)が一緒に学んでいる学校でした。
この学校は男性の先生が3人の学校で、より一層生理の話が必要な学校と思っていました。
生理の話をした時、担任の先生や校長先生が補足説明をしてくれたり、途中で復習クイズを挟んだりと、授業を盛り上げてくれました。
今回もウォロフ語で説明してくれる女性と一緒に行きました。
授業の後、その女性のお家でお昼をご馳走になり、家で休んでいると
授業を受けていた1人の少女がフラッとお家に入ってきて相談に来ました。
その子は今15歳で、13歳から生理が来ていたが母親に生理が来たことを伝えられず、ナプキンも使用していなかったとのことでした。
この小さな学校でそういう1人の少女がいて、
実際はセネガルにもっとそういう子がいるのではないかと想像できました。
より一層、セネガルでの生理の授業の必要性を感じました。
2つの学校とも
私は講話の内容や教材を準備しただけですが、先生方が熱心に子どもたちにわかりやすく伝えてくださりました。女子生徒も男子生徒も「自分事」と思って話を聞いてくれて、この活動をやって良かったなと感じました。
先生方が生理の授業を小学校高学年で行う必要性を感じ、子どもたちが生理について学ぶ機会がもっと増えることを願っています。
<生理の小話>
一緒に生理の授業をしてくれたマトロンから聞いた話だと
イスラム教において、血は不浄なものとみなされており、生理についても同じ考え。
生理中の礼拝、コーランに触れたり読んだりすることも禁止されています。
また、お墓に行くことも禁止されているとのことでした。
また、ある少女たちは、生理の期間は男の子に触ってはいけないと大人に言われた、と打ち明けてくれた少女もいました。
生理というのは、女性の身体が健康な証拠で、赤ちゃんを妊娠するのになくてはならない機能なのに、なぜ不浄とみなされ、礼拝を禁じられたり、お墓に行けないのか。謎です。
「なんでそう決まってるの?」とセネガル人に聞いても
「C’est dieu.」(神様が決めたことだから)と言うセネガル人。
助産師として、女性として、その謎をいつか突き止めたいです。
ちなみにセネガルのブティック(雑貨屋)によく売られている一般的なナプキンは
大・中・小のナプキンが1つのパッケージに入られています。
貧困もあるこの国で、今必要な分だけ購入できるナプキンは良い工夫だと思いました。
色々と語ってしまい、長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました!
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