JICA海外協力隊の世界日記

セネガル便り

偏見の壁に挑戦する、スポーツの先に

アッサラーマレクン!(Salaam maalekum)

私は現在、セネガル共和国の首都ダカールから北東に車で約2時間の場所にあります、ティバワンヌ市の市役所で青少年活動をしています、加藤馨(セネガル名:マファル)です!

今回は活動の一つでティヴァワンヌ市障がい者センターにてボッチャを行いましたので、その様子を皆さんにお伝えしたいと思います!

・開催の目的・背景

今までボッチャは2回開催しており、1回目はセンター内の少し閉ざされた場所で行いました。2回目は市内で最も大きな「エコール1(日本で言う第一小学校)」の敷地内に整備されたバスケットボールコートで行いました。この場所は、普段から多くの人々が日常的にスポーツに親しんでいる場所でもあり、あえてこのような“開かれた空間”を選びました。

その理由は、障がいのある方を含め、より多くの人にスポーツの楽しさや、スポーツが持つ力を体感してもらいたいと考えたからです。また、人目につく場所で実施することで、より多くの人の関心を呼び、偏見や無関心といった見えない壁に一石を投じたいという思いもありました。

セネガルには、いまだに「女性のスポーツ」や「障がい者スポーツ」が限定的・閉鎖的に行われるという、慣習が残っています。私たちは、そうした“風習”を乗り越え、誰もがスポーツに自由に参加できる社会を目指しています。そのため今回の開催では、特に「開かれた場所で行うこと」に強くこだわりました。

・当日の様子および感想

今回のイベントは、前回をはるかに上回る盛り上がりを見せ、私たちにとっても、地域の人々にとっても、大きな意味を持つ一日となりました。

会場には、障がいのある方々に加え、健常者、子どもたち、高齢者まで、まさに世代や立場を超えた多様な人々が集いました。時にはちょっとした口論が起きる場面もありましたが、それ以上に温かい拍手や笑顔があふれ、喜びや驚きの声が会場全体に広がっていました。

その光景は、私たちがこれまで向き合ってきた“壁”、すなわち分断や偏見、無関心といった見えない障壁を、自然なかたちで乗り越えるきっかけとなったように感じています。

互いに笑い合い、支え合い、ときにはぶつかり合いながらも、そこには確かにセネガル人の精神的土台である「テランガ(=おもてなしの心)」が流れていました。お互いの存在を尊重し合う、その空気を、私自身も肌で感じることができました。

そして何より、多くの参加者が最後に笑顔で「ありがとう」と声をかけてくれたことが、私にとって最高のご褒美となりました。

・今後の展望

今回のボッチャ大会を通じて、潜在的にある偏見に対して、小さくとも確かな一石を投じることができたのではないかと感じています。

これは、長い年月をかけて形成されてきた「壁」への挑戦であり、未来に向けた一歩です。そういった意味で、この取り組みは決して「ゴール」ではなく、新たな時代の幕開けを告げる「スタートライン」に過ぎません。

今後、この街がどのように変わっていくかは、彼女たち(=障がい者や女性を含むすべての住民)の手に委ねられています。私たちにできることは、彼女たちの背中をそっと押し、変化の兆しを支え、見守っていくことだと思います。

私が帰国するまでの限られた時間の中で、彼女たちと共にできる限りのことを進めていきたいと考えています。そして今後も、どんな人でも楽しめる「スポーツの力」を活かし、さまざまな壁を越え、この地に「楽しさ」と「平和」を届け続けたいと思っています!

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