JICA海外協力隊の世界日記

セネガル便り

Nioroにできたもう一つの家族

私の任地ニオロは、セネガルの内陸部にある小さな町です。首都ダカールから車で4〜5時間ですが,ガンビア共和国までは車で30分のガンビア寄りにある町です。周囲にはたくさんの村が点在しており,宗教的な場所もあるためマガルプロハンやガンモの巡礼の時は多くの人と車で普段見られない光景が見られます。

朝はアザーン(イスラム教の祈りの声)と鶏やロバの鳴き声で目が覚め、一日が始まります。雨季は毎日のように雨と雷,乾季は暑くて日中外に出ると注意されることも多いです。日本とはまったく違う環境ですが、今ではこの音や景色が私の日常になりました。

そんなニオロでの生活の中で私を支えてくれる存在ができました。

それが,村に住む「もう一つの家族」です。

私が「もう一つの家族」に出会ったきっかけは、ニオロの活動先にある保健ポストでした。

そこで助産師さんに紹介してもらったのが、バジヌゴッホ(村の保健ボランティア)として活動している一人の女性ウレイさんです。彼女は毎週、村から馬車に乗って、妊婦さんや子どもたちと一緒にニオロまでやって来ます。とても穏やかで優しく、助産師さんも「彼女は本当にいい人だよ」と笑顔で教えてくれました。

私は彼女が住んでいる村に行ってみたいと思うようになり、3月ごろ、初めて一人でその村を訪ねました。正確な場所はわからず、聞いていたのは村の名前だけ。町の人に何度も道を尋ねながら進んでいたところ、途中で出会った馬車のおじさんが「乗っていきなさい」と声をかけてくれて、村まで連れて行ってくれました。

ですが、到着した時、彼女は村にいませんでした。それでも家族の人たちは、突然やって来た私を温かく迎え入れてくれました。一緒にご飯を食べ、言葉が十分に通じなくても、笑顔やしぐさでたくさんの気持ちを伝えてくれました。

それから私は2週間に一度くらいのペースでこの村に通うようになりました。一緒に食事をして話したり、アタヤ(セネガル茶)を囲んでゆっくりしたり、ときには踊ったりもします。家族の出産のときには一緒に病院まで行き、そばにいました。ゲンテ,コリテ,タバスキなどお祭りの時は招待してくれて村に行きました。

村は小さいため歩いて1周するのもあっという間です。村の住民がいつも私のことを気にかけてくれて,ニオロの中で会った時に声をかけてくれたり,村についた瞬間「アイシャ!」っと声をかけ、子ども達は走ってきてくれます。毎回それがとても嬉しくほっとする瞬間です。

帰る時、村の人や家族はいつも「次はいつ来るの?泊まっていかないの?」と聞いてきます。ウレイに病院で会った時には、頬を合わせてあいさつをし、「元気だった?恋しかった。私の娘」と言ってくれます。その言葉を聞くたびに、胸があたたかくなります。

村からの帰り道、馬車に揺られながら見る夕日はいつもとてもきれいで、私はこの景色が大好きです。行きはわくわくしながら歩いたり、運よく馬車に乗せてもらったり。帰りは少し寂しさを感じながらも、みんなで笑いながら家に戻ります。

ニオロには、たくさんの村があり、宗教や人々のつながりが日常の中に自然に溶け込んでいます。この町での暮らしは、私に「血のつながりだけが家族じゃない」ということを教えてくれました。

ここは、日本から遠く離れた場所にできた、私のもう一つの“帰れる場所”です。

Merci beaucoup

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