JICA海外協力隊の世界日記

セネガル便り

みんな違ってみんないい ~セネガル民族紹介~

Asalaam Alaikum!!(アッサラームアライクム!)

セネガルのカフリンという町で、小学校教育隊員として活動している黒松と申します。カフリンは写真を見ていただいて分かるようにのんびりとした穏やかな町です。さらに毎日この道を牛・ロバ・羊が横断する風景が見られます。私は奈良県出身なのですが、それを見る度に奈良公園の鹿を思い出して、「奈良もカフリンも変わらないなぁ。」なんて思っています。

私はカフリンで生活してちょうど1年になります。実は本音を言うと、カフリンに赴任した際は「大した特徴のない町だなぁ。」と思ってしまっていました。しかし!1年間この町で生活する中である特徴を見つけました。それはカフリンはセネガルのほぼ中心に位置していることもあり、「セネガルの他地域より民族構成が多様」ということです。僕自身、民族に興味があることもあり、この1年でどのセネガル隊員よりも民族に詳しくなった自信があります。せっかくなので今回はカフリンの民族紹介とその民族の言葉の「こんにちは」と「ありがとう」を紹介したいと思います。

①ウォロフ族

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セネガルの人口の約40%を占める民族です。ほとんどの街での実質的な公用語がこの民族の言葉「ウォロフ語」になっています。昔から商人が多く、おしゃべり好きな人が多いと言われています。

こんにちは「アッサラーム・アライクム」

ありがとう「ジェレジェフ」

②プラール族(トゥクロール族)

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セネガルの人口の20%を占める民族です。また他国ではフラニ族と呼ばれるようです。セネガル北部に特に多く昔から遊牧に従事する人が多いです。(定住型のプラール族をトゥクロール族と呼ぶようです。)民族衣装が特徴的で、青・緑・紫色の衣装をよく着ています。女性は唇の下や目の横に入れ墨をを入れる風習があり、男性はよくターバンを巻いています。クールで口数が少ない人が多いと言われています。

こんにちは「ンバッダ」

ありがとう「(ア)ジャーラーマ」

③セレール族

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セネガルの人口の約15%を占める民族です。セネガルのファティック州やカオラック州(セネガル中部から西の範囲)に多い民族で、他民族に比べてキリスト教の割合が高いです。昔から農業・漁業に従事する人が多いようです。とても物静かで穏やかな人が多いと言われています。

こんにちは「ンジョーコ」(朝・昼・晩であいさつが違う)

ありがとう「ジョーカンジャル」

④バンバラ族

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セネガルの人口の約2%ほどを占める民族です。セネガル東部のマリと近接している州に多い民族で、マリの人の多くはこの民族のようです。上記に紹介した3民族とは言葉の発音や単語が全く違い、個人的には「さすがマリ発祥の民族だな。」と感じます。こちらも農業に従事する方が多い民族のようです。同じく農耕系の民族のセレール族と似て穏やかですが、更にフレンドリーで人なつっこい方が多い印象です。

こんにちは「アニソゴマ」(朝・昼・晩であいさつが違う)

ありがとう「イニッチェレ」

⑤ジョーラ族

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セネガルの人口の約4%を占め、ダカールから南の海岸沿いの地域とセネガル南部のガンビア共和国より更に南のカザマンス地方に多い民族です。こちらも昔から農業・漁業に従事する人が多いようです。民族衣装が特徴的であったり、仮面をかぶったり、精霊がでてくる独特の祭り(カンクラン)の文化が残っている民族です。性格はいかにも「南国の人」といった感じの性格で、穏やかでゆったりな方が多いとされています。

こんにちは「カスマイ」

ありがとう「アバラカ」

僕が実際に出会って、「こんにちは」・「ありがとう」を直接教えてもらった民族は以上になります。紹介しきれなかった民族として、マリ系のマンディンカ族(セネガルサッカーの英雄サディオ・マネの民族)、カザマンス系のバラント族、モーリタニア・マグレブ系のナール族などがいます。調べたところセネガルには1020くらいの民族がいるみたいです。これからもどんどん町中を歩き回って、実際に色んな民族の方と出会って言葉や文化を教えてもらおうと思います!

そしてセネガルの良いところはどの民族も尊重され、平和に共に生きているところだと思います。民族をネタにした冗談(〇〇族は〜ばっかり食べる。など)を聞くことがありますが、それは本心からではなくコミュニケーションの一環として民族間で冗談を言い合う文化があるそうです。というか、本当に平和な国じゃないと民族をネタにした冗談なんて言えるわけないですよね。高度な笑いだと思います。またセネガルでは

「On est ensemble.」(私たちは共にある。)
「On vit ensemble.」
(私たちは共に生きる。)

という言葉をよく聞きます。これは綺麗事ではなく、

「私たちはどの民族にも友だちがいるし、結婚もするから当たり前だ!」

とセネガル人の僕の知り合いは言っていました。

セネガルでは苗字を聞くと大体のどの民族かわかります。特に私が住むカフリンではほぼ必ずと言っていいほどフルネームを尋ねて

「〇〇族か!」

という話題から会話をスタートさせます。今のところ私はこのやり取りで嫌な顔をしたり、名前を言わなかったりする人を見たことがありません。みんな自分の民族に誇りをもっているし、また訪ねた方も民族が重要なのではなく、民族をきっかけに仲良くなろうとしているのだろうと感じます。だからみんな僕にも

「君はどこの国の人?」

と聞いてくるくせに、すぐ僕が何人かを忘れます。僕は最近ある意味でそれが心地よくなってきました。「何民族か」「何人か」なんて本当は特別重要なことではなく、同じ町に生きる1人の人間として扱ってくれている気がします。

「こんな人たちが増えれば世界は平和になるのにな~。」

なんて思いながら、僕は今日もカフリンで様々な民族の言葉で「こんにちは」を言い続けています。

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