JICA海外協力隊の世界日記

ソロモン便り

ナハクリニックからそれぞれの島へ-妊婦さんに安心を届けるために

私は現在、ソロモン諸島の首都ホニアラにあるナハクリニックに配属されています。

クリニックには約28名のスタッフが勤務していますが、そのうち10名ほどは他の島の医療施設に籍を置き、赴任の準備が整うまで一時的にナハクリニックで勤務しています。

ソロモン諸島では、文化的な背景から男性看護師が妊婦さんに触れることができない地域もあります。

また、医療スタッフの不足や医療物資の欠乏などの課題もあり、妊婦さんが十分な健診や指導を受けられないケースも少なくありません。

そのため、出産予定日が近づいて、分娩のためにホニアラへ来て初めてナハクリニックを訪れる妊婦さんも珍しくないのが現状です。

こうした状況の中で、私はクリニックのスタッフに対し、妊娠に関する基本的な知識や、ガイドラインに沿った妊婦の管理方法を指導しています。

さらに、妊娠週数を確認するためのツールの使い方など、現場で実践できるスキルも共有しています。

ナハクリニックで学んだ知識や技術が、今後それぞれの赴任先の島で妊婦さんを支える力となることを願いながら、日々活動しています。

先日、地方の島へ赴任する男性看護師の送別会を行いました。

その際、私は彼に妊婦週数を計算するツールと、乳幼児の予防接種に役立つツールをプレゼントしました。

これらは紙とラミネート加工のみで作ったもので、特別な医療機器は必要ありません。

それでも、妊婦さんに週数に応じた指導をしたり、生まれた赤ちゃんが必要な予防接種を適切に受けられるよう、簡単に確認できる早見表として活用できます。

彼は妊婦健診の知識を熱心に学ぶだけでなく、クリニック内で実施している5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)にも積極的に取り組んでくれました。

「ナハクリニックでの学びをこれからも続けていきたい」と話してくれました。

日本人ボランティアとして共に働く中で得た経験や知識が、彼を通じて多くの妊婦さんや患者さんに届くことを願っています。

小さなクリニックでの一歩一歩の取り組みが、離島に住む妊婦さんたちの安心につながることを信じて、これからも活動を続けていきたいと思います。

(荒金里英、ナハクリニック、助産師)

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