JICA海外協力隊の世界日記

ソロモン便り

やれることは何でも。

(写真① スタッフと挿し木作業)

ソロモンに来て間もなく2年、帰国が目前となった。

私に課されたミッションは、植物園の苗床でスタッフの育苗技術の向上を図ること。

とは言え予想どおりモノがなかった。

肥料の代わりにバナナの皮を発酵させ、パーライトがないから腐葉土を作り、発根剤がないからアロエを育てた。

そしてスタッフと共にたくさんの種を播き、たくさんの幼苗を掘り上げ、たくさんの苗木を育てた。

(写真② スタッフとハイビスカスガーデン作庭)

その一方で。

そもそもこの植物園、住民に「行きたい!」と思わせる魅力に欠けた。

何せソロモンで初めての、そして唯一の植物園。

スタッフに植物を「展示する」という概念がなかったとしても仕方がない。

それならと、スタッフと共にたくさんのごみを拾い、たくさんの修繕を施し、たくさんの植物を植え、たくさんの水を川から運んで水やりした。

(写真③ スイレン池を覗きこむ子どもたち)

こうなると、みんなに来てもらいたいと欲が出た。

だからたくさんの場所に出向き、たくさんの人と会い、たくさん話をした。

いま2年が経ち、歓声を上げる子どもや、調査に励む学生や、木陰でランチする家族の姿を、時々、ほんの少し、この植物園で見つけることができる。

やれることは何でもやった。

それでも、成果らしきは微々たるもので、日本ならきっと数か月もあれば成せるものだろう。

ただ、スタッフと共にたくさんの汗をかき、たくさんの水を分け合って飲んだ、たくさんの時間が、この微々たるものの根っこなのだ。

だからこの微々たるものを、恥ずかしげもなくこんなところで披露することにした。

いま思えばもっといいやり方があったと、もう少し時間があればコレができたと、心残りがないわけではない。

けれど、微々たるものの根っこを信じ、枝葉を付ける未来は思い描くだけにする。

もうすぐソロモンを発とう。

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