JICA海外協力隊の世界日記

ソロモン便り

ソロモン諸島の大学で調べてみました:日本語学習の動機と関心(学生100人アンケート)

今、私はソロモン諸島で唯一の国立大学、SINU(Solomon Islands National University)で日本語を教えています。

所属はビジネス&ツーリズム学部で、公開講座として日本語クラスを実施しています。

授業を始めるにあたり、学生たちの関心や期待を探るためにアンケート調査を行いました。

集まった回答は、ちょうど100件。

対象はひとつの大学に限られていますが、ソロモン諸島でこれほどの規模で日本語学習のニーズを調べたのは初めてのことではないかと思います。

今回はその結果をもとに、学生たちの日本語学習ニーズを紹介します。

結果を見てまず驚かされたのは、日本文化に関する関心の高さです。

近年、世界の日本語学習の現場では、アニメやポップカルチャーが入り口となることが多くなっていますが、今回の調査では「伝統文化」に強い興味を示す学生が目立ちました。

もちろんアニメや音楽に魅力を感じる学生もいますが、祭りや和食、茶道といった日本の古くからの文化に注目する声が多かったのは意外でした。

こうした違いは、SINUの学生が日本について直接触れる機会が限られていることと関係しているのかもしれません。

実際に、日本人と話したのは私が初めてという学生がほとんどです。

着物や寿司の写真を見せても知らない学生が多く、中には『日本がどこにあるのか知らなかった』という学生もいました。

こうした様子から、日本語学習は単に言葉を学ぶだけでなく、日本そのものを知る場になるのだと感じました。

学習の動機として最も多かったのは「観光業に役立てたい」というものでした。

ビジネス&ツーリズム学部を対象にした調査なので当然の結果とも言えますが、ソロモン諸島では観光産業が重要な位置を占めており、より多くの日本人に訪れてもらいたいという思いが背景にあります。

私がこの学部に配属された理由もまさにそこにあり、日本語教育を通して観光業に貢献できる人材を育成することが目的なのです。

将来、卒業生たちがホテルや空港スタッフ、ツアーガイドなどとして日本人旅行者に案内や接客をしている姿は、国にとっても学生にとっても理想とする将来像です。

こうした学生たちの声を手がかりに、授業をより実践的で楽しいものにし、言葉と文化の両面から日本とソロモン諸島をつなぐ橋渡しをしていくことができればと思っています。

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