JICA海外協力隊の世界日記

ソロモン便り

慌てん坊のdaddyと赤ちゃんの大切な帽子

私は、助産師として普段は小さなクリニックで活動をしていますが、ときどき国立病院の分娩室に来ています。

ソロモン諸島の首都ホニアラにある国立病院は、ホニアラ市で唯一の分娩施設で、普段クリニックで診ている妊婦さんたちは、みんなここでお産をします。

毎月500−600人の赤ちゃんが産まれます。

日本ではたくさんの機械や医療物品が分娩室にありますが、ソロモンの分娩室は非常にシンプルで、ベッドとバケツ一つです。

数分の間に次々とお産が重なるため、分娩後は分娩担当者がすぐに綺麗に掃除をし、次の出産に備えます。

日本の医師が行う縫合や異常分娩もソロモンの助産師はあっという間に対応します。

ある日、3人目の赤ちゃんの出産を控えた産婦さんに私は付き添っていました。

産婦さんは静かに陣痛に耐え、旦那さんの到着を待っていました。

というのも、この日は妊婦健診。

朝から痛みを感じていた産婦さんは妊婦健診で痛みがあることを伝え、診察したところ子宮の入り口が8cm(赤ちゃんが産まれるのは10cmです)開いていたため、分娩室へやってきました。

旦那さんに知らせるにも電話がないため、知り合いの人に頼んで、旦那さんにお産に必要なものを持ってきてもらう手配をしました。

旦那さんは突然のお産に慌ててしまい、赤ちゃんの服を忘れてしまいました。


分娩室に来て2時間ほどで無事に赤ちゃんは産まれました。

赤ちゃんは、服はなかったものの、旦那さんが持ってきてくれたおくるみと暖かそうな帽子、靴下に身を包み満足げでした。

ソロモンは熱い国ですが、産まれてすぐの赤ちゃんはみんなこの厚手の帽子をかぶっています。

以前活動していたアフリカでもこの暖かそうな帽子が主流でした。

低体温は赤ちゃんにとって命に関わる問題につながるので、この厚手の帽子はとっても大切なものです。

赤ちゃんのお父さん(Daddy)は、大切な帽子をちゃんと持ってきてくれました。

家族の愛情に包まれて、大きく元気に育ってくれることを願っています。

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