JICA海外協力隊の世界日記

ソロモン便り

津波警報が出た日。ソロモンで感じた、防災への思い

(写真:避難時に村の人が持ってきた物。トランプ、バナナ、ティーセット。水は持ってくるのを忘れたそうです。)

先日のカムチャツカ半島沖地震で遠く離れた、ここソロモン諸島にも津波警報が出されました。

私が住むウエスタン州 ムンダでは実際に2007年に津波被害があったこともあり、避難指示が出ました。

スマホやインターネットが普及していない村では、情報がなかなか届きません。

ラジオを持っていない家も多く、緊急事態を知らせる手段が限られているのが現状です。

私はすぐに近隣の村、学校、警察署へ行き津波警報が出たことを伝えました。

でも、ほとんどの人が「大丈夫だよ!!」と笑って耳を傾けてくれませんでした。

東日本大震災を経験している私にとって、そののんびりとした反応は正直、ショックでした。

でも、じっとしているわけにはいかず危機感を感じた私は、自分の住む集落の人たちと話し合い30人ほどで、近くの山へ避難することを決意しました。

「防災マップ」なんて、もちろんありません。

でも、とにかく高台に登るしかなく懐中電灯とスマホのライトを頼りに、みんなで一歩一歩、暗い山道を登りました。

小さな子供たちも一緒に、みんなで満点の星空の中一夜を野外で過ごしました。

(写真:山へ登る道を聞くと一家総出で案内してくれました。)

この経験を通して、日本の防災意識の高さは本当に「世界レベル」だと改めて感じました。

津波避難訓練や防災マップ、そして何よりも幼い頃から学ぶ防災教育。

これは本当に世界にも誇れる素晴らしいことだと思います。

今回、とても恐怖は感じた体験ではありました。

しかし、この貴重な経験を無駄にしたくないと思い、私は今村の人たちと一緒に「津波避難マップ」を作ろうと計画しています。

ほとんどが密林のジャングルであるこの地域で、どのルートで高台に登れば安全か、村の人たちに聞いては、実際に一緒にその道を歩いて確認しています。


そして、子供たちにも津波の怖さを伝えています。

東日本大震災で経験したこと、今回の避難のこと。

私の話を聞いて、少しでも危機意識を持ってくれたら嬉しいです。

(写真:定期的に村の子供達への津波学習会を実施)

災害はいつ、どこで起こるかわかりません。

そして、災害が起こると今までの日常が一変してしまいます。

だからこそ、自分の命を守るための知識と行動力が大切です。

ソロモン諸島の人達が防災に対して正しい知識を身に着け将来、彼らが地域や社会の防災力を高めていくことにもつながっていくことを願っています。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

次回のソロモン便りもお楽しみに!

看護師 杉原ひとみ

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