JICA海外協力隊の世界日記

ソロモン便り

魚は食べるもの!?

(写真:ある日のお昼ご飯)

<魚への認識>

ソロモン諸島は日本と同じく海に囲まれた島国で、川も多く、魚は日常的に食卓に並ぶ身近な食材です。

その一方で、「魚を眺める」「飼育して観察する」といった発想はあまりなく、魚はあくまで“食べるもの”という認識が一般的です。

このたび、イザベル州教育局の図書館に水槽を設置しました。

現地では「水槽」という概念があまり知られておらず、「アクアリウム」と説明してもなかなか理解されませんでした。

そこで、「フィッシュタンク」や「フィッシュプール」といった表現を用いることで、ようやくイメージを共有することができました。

(写真:家の横を流れる川で魚捕り)

<水槽づくり作業>

水槽づくりにあたっては、職場の同僚やその子どもたちと協力し、川で魚を採取したり、海からバケツに海水を入れて教育局まで皆で運んだりしました。

魚採りに行った際、何匹も毒蛇が現れ、みんなで慌てて逃げ帰りました。

職場に戻ってその出来事を話すと、同僚が興味深い話を教えてくれました。

彼らによれば、肌の色が異なる人がその土地に入ると、毒蛇が“守り人”として姿を現すのだそうです。

地元の人だけで遊んでいるときには出てこないため、地元の子どもたちが毒蛇におびえていたのは、普段ほとんど遭遇することがないからだということでした。

さらに、山でも同じように、地元以外の人が入ると“守り人の幽霊”が呼びに来ると信じられているとのことでした。

「地元の人と一緒にいれば、その存在を確認したうえで静かに見守るだけだが、地元の人を抜きにして勝手に山へ入ってはいけない。

これは単なる伝説ではなく、実際に起こる“事実”だ」と、何度も強調して話してくれました。

こうした地元の自然観に触れながら進めた水槽づくりは、一人では到底できないものでしたが、周囲の協力のおかげで実現することができました。

<水槽への反応>

完成した水槽を前に、同僚や子どもたちは目を輝かせながら魚を見つめていました。

自然豊かなイザベル州では、魚や海・川の生き物は日常生活に深く根付いていますが、「魚を観賞する」「学びの対象として扱う」という視点は新鮮だったようです。

今では、学校に行く前に水槽をのぞいて魚の様子を確認していく子どももいるほどです。

イザベル州教育局 教育行政・学校運営 村上怜香

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