JICA海外協力隊の世界日記

ソロモン便り

ソロモン諸島の木材産業事情

みなさんこんにちは。ソロモン諸島政府 森林研究省にて職種マーケティングとして活動しております髙田裕也です。今回で三度目の投稿となるのでニッチではありますが、未来の森林隊員向けに、ソロモンの木材産業事情をここに残しておこうと思います。

ソロモンは世界でも屈指の森林大国で、森林の被覆面積は国土の80%以上です。(政府調査では90%ともいわれる。)

森林が豊富とされる日本でも約67%なので、ソロモンがいかに森林大国であるか、より一層分かると思います。

ソロモンはその豊富な森林資源に外貨の獲得を依存しており、輸出総額の半分以上を丸太の輸出が占めています。しかしここに大きな問題点が存在します。森林を伐採し、丸太を輸出している企業のほぼ100%が海外企業であることです。ソロモンの資源であるのに、森林を所有するソロモンの人々には、売値の1割程度しか対価が支払われないという状況が実態です。森林資源が減っていく一方で、ソロモンにお金が落ちないことは大きな課題です。

このような背景から、私の要請のマーケティングがあります。海外企業に丸太を輸出させるのではなく、自分たちで丸太を製材に加工し、付加価値を付け、販売するという流れに助力すべく、製材の輸出マーケティングを担当しています。より多くのソロモン人が、製材によって、生計を立てられるようにしようという方針がJICAの森林セクターとしても目指しているところです。

私の赴任とタイミングを同じくして、日本からソロモン全土に67台の簡易製材機を供与するというプロジェクトが始まりました。これは今ほど説明した通り、製材により生計を立てられる人を増やすと同時に、森林伐採を抑制する目的があります。私は配属先と共に、この製材機供与プロジェクトに関わりました。

<補足>
海外企業による、丸太輸出の為の森林伐採は皆伐といい、対象範囲の木々をすべて切り倒して更地にしてしまいます。一方、製材の為の森林伐採は択伐といい、製材加工に適した木のみを選んで伐採するため、環境負荷が小さいです。

写真:日本が供与した簡易製材機によって製材する様子。

ソロモンにて、製材の営業活動を始めましたが、製材(Timber)のマーケットは十分とは言えず、潜在顧客を見つけるだけでも一苦労です。そこで、私は製材のマーケティングを進めると同時にソロモン諸島の木材産業のこれからについて思案しました。

*プランテーション事業者として海外企業を誘致すること

*製材から、より市場価値のある(需要のある)木材製品の製造(合板・LVL製造)へ産業を発展させていくこと

この二つが未来のソロモン諸島の木材産業に必要になってくると考えました。以下が考えに至った理由です。

プランテーション事業者の誘致を掲げたことは、実際に今現在、成功事例があるからです。ソロモンには台湾系と韓国系の二社の植林会社による、ユーカリのプランテーションがあります。大多数の海外の伐採企業とは異なり、プランテーション事業者は伐採計画を立て、15年以上生育した木々を選択し、伐採します。そして次の苗木を植林まで行います。環境に配慮した持続可能な森林経営をしていると言えます。このような海外企業を呼び込むことで、将来にわたり、安定的に森林資源を利用した事業が達成できると考えました。

もう一方の製材から合板・LVL製造への転換の目的は、単純に効率よくお金を稼ぐためです。合板の製造は歩留まりが55%程度あり、ライン化されているので製造効率が良いです。また、市場が広く、価格も高いというメリットがあります。先進国の木材産業はこの合板・LVL製造をはじめとする工業化が進んでおり、ソロモンも将来的にはこれを目指すべきだと考えました。

写真:プランテーション事業を行うKFPL社訪問時

これらの仮定を検証したく、外資のプランテーション事業者を訪問しました。その会社はプランテーション事業のみならず、ソロモンで唯一単板製造事業(合板になる前の一枚シート。いわゆるべニア板。)まで手掛けており、そちらの見学も訪問の目的の一つでした。

しかし現場の訪問を経て、知ったことは厳しい現実でした。プランテーション事業の採算を合わせるのはそう簡単ではないこと。同じく、単板の製造業も黒字を確保するのは難しいことを知りました。

大きな理由としては、インフラの不整備、島嶼国のアクセスの悪さの二つにあります。輸送に関連してあらゆる費用がかさむので、事業のランニングコストが釣り合わないという問題を抱えているそうです。

自身の活動期間において、ソロモンの木材産業について色々と考えを巡らせてきましたが、結局のところ、今は要請の原点である、製材加工を伸ばし、製材のマーケットを開拓していくしかない!という結論に戻ってきました。それ故に、将来の森林隊員には、製材事業の成長に力を入れてほしいと伝えたいです。そこから、徐々に加工のレパートリーを増やすことで、先進国のマーケットへ向け、家具用の一枚板なども輸出できるようになってくると思います。

木材産業の成熟は、インフラがある程度整った先の未来であると実感しました。国の基幹産業である木材産業を拡大させるために、インフラを整えたり、プランテーションの用地を確保したり、その上で企業誘致のための経済特区を設置したりと、政府が動く必要があると強く思います。持続可能な森林産業と共にソロモン諸島が発展していく未来を願っています。

2024-1 森林研究省 マーケティング 高田裕也

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