JICA海外協力隊の世界日記

ソロモン便り

自然とごみをつなぐ学び ―ソロモンの植物園でごみアート―

(体を使ったごみ分別ゲームを楽しむ子どもたち)

ソロモンの伝統的な食事といえば、魚や野菜、フルーツにお芋が定番。

しかし今は、安価な輸入品(インスタント麺や缶詰など)が広まり、食生活は大きく変化しました。

これは、近年問題となっているNCDs(生活習慣による糖尿病やがんなどの非感染性疾患)だけでなく、ごみ問題にも深刻な影響を及ぼしています。

人々は習慣のようにごみをどこでも捨ててしまいますが、プラスチックごみやペットボトル、ガスボンベなど、自然に残り続けてしまいます。

言葉で伝えるだけでは、なかなか行動を変えることはできません。

どうすれば効果的でインパクトのある環境教育ができるのか、考えていました。

そこで、協力隊ならではの現場の近さと多様な職種に目を向け、3つの職種(小学校教育・環境教育・花き栽培(植物園))の隊員がタッグを組み、植物園を舞台に環境教育授業を実施しました!

(植物園ツアーにて。川にはたくさんのごみが流れていました。)

①授業『ごみ問題ってなんだろう?』:ポイ捨てされたごみの行方やマイクロプラスチックが体内に入るかもしれない危険性を伝えました。

さらに、ココナッツの殻、ボロボロの服、スナックのごみ…これらは「自然に還るゴミ」?「還らないゴミ」?ゲーム形式で楽しく学びました。

②植物園ツアー『自然について考えてみよう!』:植物園スタッフに案内してもらいながら、園内や森を探検。理科で習う“食物連鎖”や“生物多様性”も絡めて学びました。

「この木何の木?」と聞けば、すぐ答えるソロモンの子どもたち。

さすが、自然の知識が本当に豊富です。

その後は実際に園内のごみを拾いながら、ごみが自然に与える影響についても考えました。

③ワークショップ『ごみアートでポスターを作ろう!』:最後に、子どもたちは自分たちが学んで感じたことを「自然が大好き」「村をきれいに保とう!」などのメッセージとして書き添え、園内で拾ったごみを使ったモザイクアートでポスターを作りました。

教室を飛び出し、実際に見て、触れて、考えて、形にする授業は、生徒にも先生にも好評だったようで、とても楽しんでくれました。

完成したポスターは、実際に子どもたちの小学校に掲示されています。

(小さく切ったプラスチックごみの破片を使ってポスター作り)

この授業でソロモンのごみ問題は解決するのでしょうか。

もちろん、そう簡単には変わりません。長い道のりですが、ごみ問題の深刻さについて伝え続けることが大切です。

先日、日本に一時帰国した際、幼い姪っ子が「ママ、このおやつのごみ、この袋に捨てていい?」と聞いていました。

子どもたちが当たり前のようにポイ捨てする島から来た私からすると、“こんな幼い子がすでにポイ捨てがいけないことだと分かってるの?!”と、逆カルチャーショック(?)を受けました。

日本もかつてはごみがそこら中に落ちていましたが、今ではとっても綺麗で清潔な国として海外でも知られています。

これは地道な環境教育=モラル教育の賜物だと思います。

10年以上ソロモンを見てきた先輩隊員によると、以前より少しずつごみ問題は改善しているとのこと。

すぐに成果が出る活動ではないですが、こうした環境教育がいつか彼らの考え方や習慣を変えることを信じています。


(2024年度2次隊 環境教育 藤井ゆめの)

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