JICA海外協力隊の世界日記

ソロモン便り

豚の丸焼きと戦争の爪痕とNo.9(ナンバーナイン)

ソロモン諸島は日本から南東へ約5,000kmも離れた太平洋の島嶼。

南の島国独特の穏やかな時間の流れを感じながら生活している日々の中で、ソロモン人との交流も…休みの当日の朝にいきなり誘われる。眠気眼に電話に出ると


「今からパーティーするから来てよ。」

パーティーって事前に予定を立ててするものじゃないのか?と疑問に思いながらも

「俺が行ってもいいの?」と聞くと

「ノーワリワリ(Don’t worryのピジン語)」と一言。


バタバタ家を出て、汗をダラダラ流しながら現地に向かうとパーティーは…やってない。あれ?なんか間違えたかな?と不安の中ウロウロしていると、パラパラと人が集まってくる。

開始時間を決めるのは時計じゃなく太陽。肝心なことを忘れていた。

「今から」に日本とソロモンの時差を感じながら徐々にパーティーの準備が行われる。

そんな中メインは豚の丸焼き。ソロモン諸島ではお祝い事には豚を一頭丸焼きにしてみんなで食べる。穏やかな時間が流れる(トントン拍子に行かない)日常の中でも至福の時間だったりする。美味しいものを食べれば万事問題なし。ノーワリワリ。

そんなソロモン諸島は日本との関係はとても深い。

82年前の第二次世界戦争の爪痕は未だに残っている。

多くの日本兵がこのガナルカナル島の地に倒れ、未だに祖国の土を踏むこともできずにこの地に眠っている。

写真はカカンボナという村。戦時中に軍司令部が建てられた場所であり、現在は戦没者のための慰霊碑が建っている。この村に住むソロモン人達が管理してくれているおかげで今もこうして追悼式を行うことができている。

時折、追悼中に突然の雨が降ることがある。これを「涙雨」というらしい。失意の中で亡くなった戦没者が追悼の意に喜びの涙を流している。と言われている。

「戦争に勝者はいない」と思わされる一日だった。

その第二次世界大戦の時代に建てられた野戦病院がある。戦時中についた名前は「No.9(ナンバーナイン)」。九番目の野戦病院として建てられたこの病院は、今ではソロモン国立中央病院と名前を変え、この国の医療を支えている。そのリハビリテーション科に理学療法士として配属され、日々活動している。

余談だが、理学療法は世界大戦後に大きく発展した。戦争による傷病者が社会復帰できるように技術者を育成したことが今の理学療法士の礎となっている。

昔の戦争の戦没者も、今の病気の傷病者も、自分の足で祖国や家に帰れることはとても大切なことだと思う。一人でも多くの人が自分の足で自由に歩けるように理学療法士として尽力していきたい。

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