JICA海外協力隊の世界日記

ソロモン便り

はじめて 〜観光地化されていない、純粋なお祭り〜

サンタカタリナ島。

ソロモン諸島東部、マキラ州の沖に浮かぶ、小さな島です。

この島には、Atawa(アタワ)族とAmoea(アモエア)族という2つの部族が暮らしており、年に一度、彼らの伝統的なお祭り「Wogasia Festival(ウォガシア・フェスティバル)」が行われます。

私がこのお祭りを訪れたのは、ソロモン諸島観光局の一員としてでした。

同行したのは、観光局の撮影スタッフ数名、先輩JOCV、そして私。観光客の姿はどこにも見当たりません。

実行委員会も、進行表もありません。

祖先から代々受け継がれてきた儀式を、人々が自然に、そして当たり前のように年に一度だけ行う。

それがWogasia Festivalです。

夜、村のチーフが「Wogasiaの星が天頂に来た」と宣言すると、祭りが静かに始まります。

少年たちは海で法螺貝を清め、星明かりの下で吹き始めます。

その音は何度も繰り返され、やがて時間の感覚がゆっくりと溶けていくような気がしました。

すると突然、若い男女が叫び声を上げながら、木の枝で地面を叩きつけ、海へと全力で走り出します。

これは、病気や悪霊、怒りを島から祓うための儀式です。

続いて、少女たちが海辺に集まって座り、繰り返し歌を歌います。

その力強い歌声が、夜の海に、空に、響き渡っていきました。

ゆるやかな時間と激しい動きが交錯する、不思議で力強いエネルギーに満ちた時間が流れていきます。

そして、夜が明ける頃、「スピアファイト」が始まります。

二つの部族が波打ち際で槍を投げ合い、真剣勝負を繰り広げます。

普段は争いを避けて暮らす彼らが、年に一度、この日だけは、お互いの誇りをかけて真っ向からぶつかるのです。

そして、最後に登場するのは、全身にバナナの葉をまとった女性たち。

彼女たちは広場に一列に並び、法螺貝の音色の合図で、海へと全力で駆け出していきました。

あたまのてっぺんから足の先まで、緑に包まれたその姿は、とても神秘的で、美しくて、そして強かった。

この祭りには、観光客向けの演出やカスタマイズは一切ありません。

それだからこそ、感じられる、本物の文化と人々の力強さ。

来年、あなたもこの小さな島のWogasiaに飛び込んで、はじめて、を体験してみてはいかがでしょうか?

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