JICA海外協力隊の世界日記

南アフリカ共和国便り

南アフリカの教室から ― 限られた環境の中で学びをつなぐ

『学校と地域、そして多言語の教室』

こんにちは。2024年度1次隊PCインストラクターとして派遣中の小池です。

「南アフリカ共和国便り」に興味をもっていただきありがとうございます。

私は現在、現職教員特別参加制度を利用して、南アフリカ共和国北東部、リンポポ州ラヴェレ村にある Daniel Mubva Primary School(ダニエル ムブヴァ小学校) で活動しています。

この学校は公立小学校で、約900名の子どもたちが通い、約30名の教職員が日々学校を支えています。
朝夕には子どもたちが赤土の道を元気に行き交い、学校は地域の中心として親しまれています。

授業は原則英語で行われていますが、日常生活では ヴェンダ語(Tshivenda) が多く使われています。
ヴェンダ語は南アフリカに11ある公用語の一つ(現在は手話も含めて12言語)で、国内全体では約2.5%前後の人々が第一言語として使用していると言われています。
教室の内と外で言語が自然に切り替わるこの多言語環境は、子どもたちの可能性さや学ぶ力を感じさせてくれます。

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『PCが使えようとも、使えなくとも』

私は主にPC(ICT)教育を担当するために派遣されました。

しかし、着任して最初に知ったのは、PCそのものは倉庫にあるが、機能上の問題や防犯上の問題から「現在は使えるPCがほとんどない」という状況でした。

仮にもし、それらの問題がクリアとなったとしても、頻繁に起こる停電の影響で、毎日安定して授業を行うことは難しいという現実もありました。

事前に教材を準備し、期待を胸に現地へ向かった私は、そのギャップに戸惑いを覚えたことを今でもよく覚えています。

それでも、PCを使用することで先生たちの教育の幅、なにより子どもたちの可能性が広がることは間違いありません。

そこで、日本から持参していた自前のPC一台でできることを考えました。
まず、初めに取り組んだのはプロジェクターの捜索です。
幸いなことに1台だけ、副校長先生が持っていた物を借りることができました。

そのプロジェクターで、作成した資料を映写し、教室全体を対象とした授業を開始することができました。
ただし、停電の日はそのプロジェクターすら使えません。そんな日は、黒板いっぱいにキーボードのレイアウトを板書し、ノートに書き写させ、タイピングの練習を行いました。

自分の名前を紙キーボードでタイピングさせていた時に、生徒の一人であるZanelleさん(仮名)が「先生! "e""l"が一個ずつしかありません!フルネームだと指が足りません!」と言われたときには、これからの活動の可能性と教育の奥深さを感じました。

しかし、子ども達はそんな急ごしらえの授業でも目を輝かせて楽しんでくれています。
使える日は操作や基本的な使い方を学び、使えない日は紙や板書を使って、順序やルール、考え方を丁寧に確認しています。

電源を入れる。指示を聞く。順番を守る。ーー”当たり前”のことを”当たり前に”できるように。
こうした基本の積み重ねは、ICTに限らず学習全体の土台になります。環境が十分でなくても、工夫を重ねることで学びは前に進む。その手応えを信じて、日々の授業の工夫を続けています。

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『日本の文化から広がる学び』

PCが十分に使えない状況の中でも取り組めることは無いかと、校長先生達と相談したところ新たな可能性が生まれました。

それは、私が中学生から現在まで続けている「柔道」でした。※柔道では五段を取得をしています。

そんな体一つで始められる活動として、放課後や停電時の授業にて柔道の指導も行っています。
畳や柔道着は南アフリカ国内の道場の先生方や日本の認定特定非営利活動法人「JUDOs」に協力を仰ぎ、貸与していただきました。

まだ、十分に設備やそろっているわけではありませんが、挨拶や黙想、立ち方など、できることから少しずつ取り組んでいます。

PCと柔道は一見すると異なる活動ですが、どちらも「順序を守る」「繰り返し取り組む」「(オン・オフ関わらず)相手を尊重する」といった学びが自然と身につく点で共通しています。
なお、柔道の活動については、次回の私が記事を書く際に、子どもたちとの具体的なやり取りや、活動を通して感じた思いも含めて、改めて詳しく紹介する予定です。

最後に、南アフリカ共和国でよく使われている万能な挨拶を一つご紹介します。


SHARP(シャープ)

Good / All good / Take care / See you
のニュアンスに近い、非常に幅の広いポジティブな挨拶です。(語源は諸説あるそうです。)
第一言語に関わらず、人と人との関わりを大切にするこの言葉を胸に、これからも活動を続けていきたいと思います。

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SHARP.―― Stay Happy And Respect People.

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