JICA海外協力隊の世界日記

スリランカ便り

協力隊60周年企画/スリランカ帰国隊員のイマ/久保治代(音楽)

読者に向けて自己紹介

皆様初めまして。スリランカ音楽隊員だった久保と申します。大阪で生まれ育ち、長い教員生活を経て退職した後、海外協力隊を2か国経験しました。子どもの頃から音楽が好きで幼少期に鍵盤楽器を習い始めたことをきっかけに、学生時代からは歌・筝曲、社会人になってからは弦楽器というようにクラシックとポピュラー音楽の両方を勉強してきました。
応募のきっかけはいくつかあるのですが、身内で経験者がいること、自分の経験を生かして世界の人々に音楽の良さを伝えたいと思ったこと、そして南の島で現地の人と音楽を楽しみたいという思いが、スリランカやトンガに私を連れてきてくれたんだと思います。

隊員時代の活動に関する思い出について

活動についてですが、最初は2020年1月からトンガに音楽隊員として赴任しました。けれども新型コロナのパンデミックにより途中で帰国することになり、日本からの遠隔支援へと変わりました。再びトンガに戻るつもりで活動を続けていましたが,スリランカに振替で赴任することになり、2021年8月から11か月間活動することになりました。
スリランカの主な活動場所はマハラガマ教員養成校で、西洋音楽教員の養成コースで楽器の実技や教育法の指導を行っていました。他には教育省の新学習指導要領の改訂の手伝いやユースオーケストラでの実技指導も行っていました。
皆さんもご存じの通り、当時は日本と同じく学校教育では合唱やリコーダーなど演奏活動が制限されており、スリランカでも任期の前半はほぼオンライン指導でピアノ実技を中心に指導していました。「何のために海外にいるんだろうか」となかなか対面できないことに残念に思うこともありましたが、長く対面できなかったから余計に、直接会えた時は喜びがひとしおで、お互いに「ああ,こんな人だったんだ!実在したんだ!」と思ったことを覚えています。
対面で活動できたのはほんの数か月ですが、時間がないと思えたからこそ中身の濃い充実した時を過ごすことができたのではないかと思います。(詳細は「世界日記 音の風景 in Sri Lanka」(久保 治代) | JICA海外協力隊の世界日記をご覧ください。)
このように私の場合かなり特殊な例になるかと思いますが、後述のとおり、結局、短期間に協力隊を2か国,計3回経験するという貴重な体験ができました。

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画像1:スリランカ国立マハラガマ教員養成校音楽教員養成クラスの学生たちと

帰国後の進路について

スリランカから帰国後の3年間は、学校とは別の大阪府の教育機関に臨時職員として勤務していました。その仕事と並行して、いつか最初の任国トンガの活動の続きをしたいという目標を持って、弦楽器の指導法を中心に研究を続けていました。
そして運よくその機会を得て、2025年4月から5か月間の短期音楽隊員として、現在トンガの首都ヌクアロファにあるトゥポウ高等専門学校の音楽コースで、弦楽器・鍵盤楽器の実技指導を中心に活動しています。5年ぶりのトンガで学生の顔ぶれは変わっていますが、殆どの職員が覚えてくれていたことに感激しました。また、音楽コースの教員5名のうち1名は前回と同じ先生で、後の4名はなんと5年前の教え子!当時学生だった彼らが音楽教員になって、しかも一緒に仕事ができるというのはなかなかできない経験で、彼らのサポート(私は英語で授業をしますが、特に高度な内容の時は現地語で説明し直してくれる)を受けながら毎日幸せな気持ちで活動しています。
帰国予定は2025年9月で学期途中になるので、続きは日本からオンラインで授業をするかどうか、現在カウンターパート(一緒に仕事をする一番近い同僚)と相談中です。

協力隊への応募を考えている皆さんへのメッセージ

最後になりますが、募集案件の内容を見て、「やってみたいけどこんな難しいことできるかな…」と思われることがあっても、もしかしたら条件として掲載されていなくても、その年の活動先のニーズと合致する他のスキルをお持ちかもしれません。実際,私も要請内容のうち得意でない楽器も含まれていて迷いましたが,それに替わる別のスキルを活かす機会が多くありました。ですからそんな方も含めて、今、海外協力隊に応募してみようかなと考えておられる方は、どうぞ思いきって応募してみてください!きっと文字通り「世界が広がる」と思いますよ。

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画像2:帰国後の写真 トンガ トゥポウ高等専門学校音楽コース校内コンサート 学生の演奏に合わせてピアノ伴奏する筆者

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