JICA海外協力隊の世界日記

スリランカ便り

Kandyで最も貧困な地域に射す光~Mahaiyawa公衆トイレ清掃・壁画プロジェクト~ part3

スリランカ第2の都市・Kandy市の中でも最も貧困層が暮らす地区、
「Mahaiyawa(マハイヤーワ)」の衛生環境を向上させるために、1つの活動が始まった。

この地区がどんな場所で、どんな人々が暮らしているのか——
気になる方は、ぜひこれまでの記事をご覧いただきたい。
                 ↓
~Mahaiyawa公衆トイレ清掃・壁画プロジェクト~ part1
~Mahaiyawa公衆トイレ清掃・壁画プロジェクト~ part2

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・壁画づくりへの準備
アーティストのYutoと出会ってから2か月。
私たちは、企画書の作成や必要物品の調整を進めながら、このプロジェクトの要となる壁画デザインを練り上げていった。
Yutoは考え続けた。
「Mahaiyawaの人々に愛されるデザインとは?」
「子どもたちの絵を通して、地域の防犯意識を高めることはできないか?」
彼は何度も試行錯誤を重ね、いくつものデザイン案を提示してくれた。

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・2025年10月1日、現場へ
Yutoが初めてMahaiyawaを訪れたその日。
11か所ある公衆トイレの中でも、特に状態の悪いトイレを目にし、言葉を失っていた。
私たちは、7月末に清掃活動を行った「Arachiトイレ」を選び、ここを壁画制作の拠点とすることにした。
「この場所が、Mahaiyawaの環境意識を変える第一歩になりますように。」
そんな思いを胸に、プロジェクトが動き出した。

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・1日目:壁がキャンバスに変わる瞬間
この日、地域の子どもから大人まで約10名が集まり、完成イメージを共有。
壁面や床、トイレ内をみんなで掃除して、絵を描ける環境を整えた。
掃除を終えると、Yutoがチョークを手に取り下書きを始めた。
何もなかった壁に、かわいらしい模様や動物が次々と生まれていく。
子どもたちは目を輝かせながら、ただその様子を見つめていた。
こうして1日目は、あっという間に過ぎていった。

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・2日目:線が、命を持ちはじめる
翌日はチョークから筆に持ち替え、黒いペンキで下書きのラインを描く作業へ。
前日より多くの子どもが集まり、「何を描いているの?」と興味津々。
Yutoは笑顔で会話を交わしながら、真剣な表情で筆を進めた。
その姿に、子どもたちの目も心も奪われていった。

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3日目:子どもたちの「初めての一筆」
下書きが進み、ペンキの色を試す段階へ。
興味を持った子どもに「やってみる?」と声をかけると、
恥ずかしそうにしながらも、笑顔で筆を受け取った。
初めて色をのせる瞬間の緊張と喜び。
二塗り、三塗りと重ねるうちに、表情は次第に真剣なものへと変わっていった。
このトイレは私たちのものではない。
Mahaiyawaの人々がこれからも使い続ける場所。
だからこそ、彼らの手で創り上げることに意味がある——
それを実感できた瞬間だった。

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今回は3日間の作業で一時中断。
私たちの都合と、ペンキの定着を確認するため、2週間の間を空けることにした。

次回、子どもたちはどんな思いでトイレを彩っていくのか。
そして、浮かない表情を見せたYuto——その理由とは……?

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

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