2025/03/28 Fri
活動 環境教育
【環境便り】一朝一夕では変わらない、環境教育をする意義とは? ~参加者の子どもの姿から見えた光~


こんにちは。Taroです。
私は、スリランカ第二の都市Kandyで環境教育の活動をしています。
今回は、スリランカ中腹の街Kandyから北に20km程進んだ、スパイスの町Mataleで行った私達の活動を紹介します。
話のきっかけは…
北陸を拠点として、地方の視点から国際協力活動と、日本の地方と途上国双方の学び合いによる地域づくりを目指す一般社団法人Think Locally Act Globally(TLAG)の代表理事、石橋裕子さんより「この町の子ども達に環境教育をして欲しい!」とお声がけいただいたことでした。
石橋さんは、過去にスリランカでJICA海外協力隊(当時は青年海外協力隊)として活動していた隊員OBです。
そんな彼女からの指定は、「みなさんが思うようにやって下さい」ということだけ。
スリランカに在籍する環境教育隊員は、5名(活動当時)。
事前ミーティングをして、子どもに伝えたいこと、新しくやってみたいことについて意見を出し合い‥‥
やることは大きく3つに決まりました。
①世界湿地の日に合わせて、スリランカと日本の湿地について学ぶ
②ゴミ問題とリサイクルについて
③アップサイクル体験
実施内容が決まると、次はどのようにすれば子ども達に伝わるかを考えます。
(ここが一番大切で、悩むポイント………。けれど創意工夫の幅があり、おもしろい!!!)
環境教育の目的は、知識を伝えることではありません。
私達の活動後に、参加者の行動を変革することだと私は考えます。
じゃあ、どうすれば子ども達に環境愛護の心を持ってもらえるのか…。
逆に、ポイ捨てが習慣となってしまっている大人には…?
そんなことを頭の中でぐるぐると考えを巡らし、形にしていきます。
私達のこの日の活動は、以下のようになりました。
①世界湿地の日に合わせて、スリランカと日本の湿地について学ぶ。
・クイズで楽しく、知識として知ってもらう。
・ゴミが映っている部分を黒塗りにした写真を提示→湿地含む自然を蝕むゴミ問題について、参加者に問題提起する。
②ゴミ問題とリサイクルについて
・日常を舞台としたゴミの劇を通じて、ゴミ問題を自分事として考えてもらう。
*主人公の男の子がポイ捨てしたお菓子のゴミが、川を通じて海に流れ、
マイクロプラスチックとなって人体に影響を及ぼすというストーリー
・ゴミ問題に対して、私達にできることは無いかの問いかけ。
③アップサイクル体験
・捨てればゴミとなっていた古紙を使用して、紙すきによる再生紙づくり。
・ペットボトルキャップを使用して、アクセサリーづくり。
作成後は、自分でつくった再生紙やアクセサリーを笑顔で見つめ、他の人に見せる様子も見られました。
子どもたちは、この日、ゴミは捨てるだけでなく、再利用する手段もあることを実体験したのです。
こうしてこの日の活動は終わりました。
彼らに生きた価値観を身に着けてもらうことを意図し、
①知識の伝達と課題の共有
②身近な事例による自分ごと化
③自分にできることの実行
という思考から行動に移す流れを意識した環境教育を行い、ある程度の好感触は得ましたが、
「果たして彼らにどこまで伝わっただろうか…」といつものモヤモヤが残りました。
後日、その答えの1つを嬉しい形で、TLAGの石橋さんからいただきました。
もちろん、あの日参加した全員の意識や行動が変わったとは思っていません。
しかし、この子のように1人にでも私達の思いが届いたことが大変嬉しく、
環境教育の力を実感する記念すべき日となりました。
制約を課すこと無く、私達の自主性に託してお話を下さった石橋さんに心から感謝です。
そして、継続的にMataleで環境教育を行いたいと感じました。
美しい環境は1日にしては成りませんが、環境教育を継続的に行うことで、
参加者に、地域に、この国に大きな変革をもたらすと信じています。
活動を終えた私達に、労いとして頂いたキングココナッツジュースとスリランカカレーが染みわたる…!!!
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