JICA海外協力隊の世界日記

スリランカ便り

第二章 好奇心と不安の間【桃子の体験記】

こんにちは。
青年海外協力隊、元スリランカ隊員の倉田桃子(くらたとうこ/2022年度4次隊/青少年活動)です。
先日から私の協力隊活動の様子を「桃子の体験記」として書き始めました。
第二章では、日本での派遣前訓練を終えていよいよスリランカに降り立ちます。

***
派遣前訓練が終わってからスリランカへ発つまで約2ヶ月あったが、駐日スリランカ大使館を訪問させていただく機会にも恵まれた。訓練で学んだシンハラ語を忘れまいと必死だった。

※駐日スリランカ大使表敬訪問_JICAスリランカ事務所Facebook
https://www.facebook.com/share/p/1DVdY1JGpd/

私は過去、数日の海外旅行はしたことがあったが、その時は学校やツアーなどで生活や移動をコーディネートしてくれる人が必ずいた。自力で他の国で生活するのは今回が初めて。荷造りですら、何を持っていって何を現地で揃えるべきか検討がつかない。期待も不安も全て詰め込んだ大きな荷物を持ち、2023年5月16日、スリランカへ直行のフライトに乗り込んだ。

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スリランカはシンハラ語で「光り輝く島」という意味の島国。インドの南側に位置し、面積は北海道の約8割。その自然の豊かさと美しさから「インド洋の真珠」とも呼ばれる。また、イギリス植民地時代には「セイロン島」と呼ばれ、世界有数の生産・輸出を誇る紅茶は「セイロンティー」として世界的に知られている。人口約2204万人。人口の約70%がシンハラ人でその多くが仏教徒。そして人口の約15%はタミル人で多くがヒンドゥー教徒。その他の民族やイスラム教徒やキリスト教徒もいる多民族国家で、公用語はシンハラ語とタミル語(連結語は英語)である。

私の任地はスリランカの最大都市コロンボから車で北へ1時間半、ガンパハ県ミリガマという町にある職業訓練センターだ。シンハラ人が多く住む地域のため訓練所ではシンハラ語を学んできた。
そしてスリランカに到着後、任地に派遣される前に1ヶ月間、コロンボのJICAスリランカ事務所で現地語学訓練を受ける。訓練所よりもさらに実用的なシンハラ語を学んだ。
スリランカは熱帯気候で、一年を通して気温も湿度も高く、年間2回雨季と乾季が訪れる。5月のコロンボは雨季。夕方になると雨が降ることが多く、じめじめして蒸し暑かった。

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事務所で語学を学ぶだけでなく、任地を一度訪問して配属先や大家さんに挨拶をしたり、コロンボ近郊で日本語を学ぶ若者に日本文化紹介をしたり、国営テレビの日本語の番組にゲスト出演したりと、訓練中ではあったが実践的かつ立派な舞台を経験できた。イベントでは緊張やプレッシャーもあったが、次から次へと盛り沢山で立ち止まっている暇がない。

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※国家青年活動評議会マハラガマセンター日本語コースの学生約20名に、簡単な日本語とシンハラ語で日本文化についてプレゼンテーションを行いました。

※ルパヴァヒニ国営放送出演動画(After School | Japanese Language | සිංදු වලින් ජපන් ඉගෙන ගමු - 歌で日本語を学びましょう | 2023-06-12 | Rupavahini)
https://www.youtube.com/watch?v=xd59OLJ3VoE&t=1518s

訓練の最後に、自身の今後の活動についてJICAの現地職員(スリランカ人)に向けてシンハラ語でプレゼンテーションを行った。
JICA青年海外協力隊の派遣分野は教育、医療、農業、工学、スポーツ、環境保全など多岐に渡る。
私の職種は「青少年活動」。青少年の自立支援と健全育成を目的とし、活動内容は幅が広く、派遣先によって求められる取り組みも多様である。私は国家青年活動評議会というスリランカ政府が運営する組織のミリガマ職業訓練センターで、センターの学生や地域の若者を対象に活動する。プレゼンテーションの後はシンハラ語での質疑応答。
発表のスライドと原稿は事前に語学の先生に添削してもらい、原稿は暗記しなければならない。新しい単語も多く、専門用語の多い内容についてシンハラ語での質疑応答も難しかった。しかしなんとか発表を終えると、壁を一つ乗り越え、苦労した分成長できたような気がした。

コロンボでの1ヶ月間、語学の先生(スリランカ人)とJICAボランティアコーディネーターさん(日本人)には特にお世話になった。言語だけではなく生活面での疑問や不安もあったが、ボランティアコーディネーターさんには気軽に相談でき、親身になって話を聞いてくださった。

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※任地でお世話になる大家さんに挨拶した時の写真。右から、ボランティアコーディネーターさん(当時)、大家さん、私、大家さんの息子さん。

そして迎えた任地への赴任日。
私はJICAボランティアとして、配属先の一員となる。
いよいよ現地での一人暮らしと活動が始まる。
しかし不安でいっぱいだった。コロンボでの研修を終えても、この先のことや任地の様子は実際に行ってみないとわからない。任地に行けば日本人はいないし日本語も通じない。私はやっていけるのだろうか?
その日の午後、なんと配属先のセンター長と県の事務局長がわざわざ車両で迎えに来てくれた。

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※右から、私、国家青年活動評議会 ミリガマ職業訓練センター長、ガンパハ県事務局長(当時)、美容師・理容師コース講師、ICTTコース講師、センター職員(当時)。

任地までの道中、現地の喫茶店で小休憩。県事務局長とセンター長とドランバーさんと私とでお茶。スリランカのおじさま達とはどんなことを話せばいいのか、うまく言葉が出てこない。そんな私を見て県事務局長は、好きなものを頼んでいいよ、どんどん食べなさい!とニコニコしながら言ってくれた。でも、出てきた軽食は辛いし、ミルクティーは激甘だった。

今思えば、スリランカの日常に一人で飛び込んだ瞬間だったと思う。
一見強面のおじさんも気さくで親切。食事は辛い。スリランカ人が毎日飲む紅茶、ものすごく甘い。
こうして任地での生活が始まったのだ。
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