2026/03/13 Fri
北タイ 活動
【特別編】〜コミュニティでの活動について〜

職種:コミュニティ開発
配属先: コミュニティ開発局 ワンヌア支局
名前:高瀬由衣
はじめまして。タイ北部ランパーン県で活動している高瀬由衣です。
(トップの写真は任地で、農業が盛んな自然溢れた地域です。)
配属先のコミュニティ開発局ワンヌア支局は、ランパーン県ワンヌア郡の住民の方々が地域で暮らし続けられるよう様々な取り組みを提供しています。収入向上や伝統衣装の着用の推進、食糧安全保障の強化など、多様な取り組みを地域レベルで実施しています。私自身は収入向上を目的とした取り組みに携わらせていただくことが多く、この記事ではその活動を通じて得られた気づきをシェアできたらと思います。

配属先では毎年住民調査を実施しており、収入や住環境などを調査しています。先日、その結果を共有する会議に参加したのですが、配属先による住民調査は複数の収入源があることを前提として調査がデザインされ、さらに複数の収入源を持つと答えた人が少なくなかったことが印象的でした。生計を維持できるだけの収入を得られる一つの職業に就くことが当たり前だと思っていたことや、その当たり前がこの地域では異なることに気づき、ハッとさせられました。
改めて活動を振り返ると、複数の収入源を持つことが当たり前の暮らしなのだと思うと様々なことに説明がつきます。
例えば、1年目は地域の織物グループと関わりを持つ機会があり、織物を商品化し都市部のイベントで販売する様子から、工房や地域の東屋で糸・布作りに励む作り手の方々の様子まで見ることができました。収入の話を伺ったり商品の売れ行きを見たりする中で、「織物グループの活動を通じて糸作りをする作り手の方々まで十分な収入を生み出せているのだろうか」と疑問に思うこともありました。
ですが、複数の収入源を持つことがこの地域での暮らし方なのだと思うと、一つの仕事を通じて十分な収入を生み出すことよりも、収入が多くなかったとしても地域の方々にとって新たな収入源を生み出していることの方が大切なのかもしれないと思います。実際にこの地域で農作物の収穫が忙しい時期には、農作業をするため布織りの作業をお休みする様子も見てきました。
また、タイのお饅頭を商品化することを目指した、地域の方々に対するお饅頭作りトレーニングに参加したことがあります。その際、お饅頭作りを行う地域リーダーの方が、「農業の仕事が少ない時に、トレーニング参加者の何人かがお饅頭作りに来てくれたら良い」と話されていたのをよく覚えています。お饅頭事業の活性化ではなく、その活動に参加する人々のライフスタイルを優先されていたのが印象深かったです。

収入向上が目標であれば工場を誘致したり、地域事業者と企業との連携を生み出したりする方がより多くの人に多くの収入を生み出せるのではないかと考えたこともありました。しかし、「地域の文化や資源を活用する」ことを大切にするコミュニティ開発局では、地域の文化や暮らしを尊重する方法を選択することがより重要なのだろうと思います。そして、そのような局だからこそ、収入向上という目標よりも地域の人々の暮らしを尊重することが重視されているように思い、とても貴重な経験をさせていただいています。
支援対象者のニーズが見える場所で活動したいと思い参加した協力隊ですが、支援の現場で活動させていただける環境にいても対象者を適切に理解することはとても難しいです。対象者の方々の当たり前を知る中で、自身の価値基準で物事を判断していたとハッとさせられます。協力隊に参加するまでは対象者のニーズを理解した活動が良いものだと考えていましたが、無意識に自分の当たり前で価値判断をしてしまうことがあり、「自分には対象者の生活を理解することは難しい」と分かった上で取り組みに向き合おうとすることの方が大切なのかもしれないと今では感じています。
残りの6ヶ月の任期の中で、これまでの気づきを活かし活動ながら、まだ気づけていないこの地域の暮らし方を少しでも知ることができたら良いなと思います。
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