2025/07/09 Wed
【特別編】〜互いに学び笑顔溢れる超高齢化社会へ。:グローバルヘルス最前線の挑戦 〜


■職種: 公衆衛生
■配属先: チェンマイラチャパット大学 公衆衛生学科
■名前: 熊谷優季
初めまして。タイ北部地域にあたるチェンマイ県で公衆衛生隊員として活動している熊谷と申します。
さて、タイの高齢化は今どのぐらい進んでいると思いますでしょうか。
日本はちなみに今、みなさんご存知の通り世界最高レベルの高齢化率 29.3%(総務省統計局 2024)となっています。
タイは、というと、、現在、22%(タイ保健省 2022)を超えており、これはすでに超高齢化社会一歩手前まで差し掛かっている状態なのです。(タイでは60歳以上を高齢者と定義。65歳以上高齢者率の場合、現在15%)
そして、特に若者の多いバンコクのような都心地域を除く地方地域、ひいては北部地域では、さらに高齢化が著しく進んでおり、チェンマイで関わっている地域では、すでに高齢化率が30%を超える地域も少なくない状況です。
そう。バンコクだけに旅行に来て帰っていく友人や知り合いの方は、
「やっぱり、タイは若くて元気があっていいね〜!」といって帰っていくのですが、、
それは、実は本当のタイの現状では無いのです。
そう。
地方には、支えてくれる若者がいなくなってしまい、
老老介護(夫婦や親子において高齢者が高齢者を介護する)状態の家族が増え続けているという社会課題に気がつかない。
協力隊としての活動内容は、主に高齢者支援として地域内のコミュニティ活動に参加し、アクティビティやエクササイズの実施、生活習慣病予防の知識共有を行っております。
また配属先が大学であることから、学生と高齢者の交流から多世代間での取り組みにも参加させてもらい、
日々、「健康により良く生きるとは。」という課題について、地域の人たちから笑顔をもらいながら活動しています。
そして、私は大学連携の枠組みで派遣されており、大学院博士課程に在籍中の順天堂大学と連携し、研究につながる活動もチェンマイラチャパット大学と進めています。
例えば、高齢者の方々に向けた定期的な身体測定や健康診断を行っています。
これらの測定結果や診断結果の継続的なデータを集め、それらをもとにどのような行動や条件が高齢者の健康や環境の要因になっているのかを追求する。エビデンスベースの情報を世界へ広めていくことをミッションに双方の教授達と連携した研究活動を行なっています。
(大学連携事業についてはこちら。)
〜大学連携:短期隊員・スタディツアー受け入れ〜
前述した大学連携派遣では、日本からの学生を短期隊員として受け入れ、日本、タイの高齢者支援について学生同士、意見交換をしながら学び合いました。また大学という性質上、他大学のスタディツアーの受け入れも行っております。
JICAタイ事務所のFacebookページでもリアルタイムで活動の発信をしていました。
タイの高齢化の現状や私達の多様な取り組みに関してイメージしやすいような内容になっているので、こちらもぜひ、フォローいただき活動の様子をご覧いただけたら幸いです。
(タイはFacebookが公式HPとしてとってもメジャーに運用されているためぜひこの際に皆様も改めてチェックいただけたらと!)
↓ 2023年度 短期隊員による投稿
(詳しくは投稿内文章及び写真キャプションをぜひご参照ください!)
↓ 名寄市立大学さんとのスタディツアーの様子
↓ 2024年度 短期隊員による発信


〜高齢者コミュニティ大学〜
そして今、チェンマイラチャパット大学でメインの活動として関わらせていただいているのが、
新たに開始された「高齢者コミュニティ大学」という取り組みです。
こちらは、名前の如く配属先の大学が主導となり大学が位置する町役場と連携。
元々活動があった高齢者コミュニティをよりアクティブにかつ学生と一緒に健康教養を身につけていこう、そして高齢者コミュニティのパイオニアとして世界に良い活動を広めていこうと、研究プロジェクトとしても走らせていくという挑戦的なプロジェクトとなっています。
タイの他地域においてあまり見ることがなかった特徴的なこととして、「大学」という名前がつけられたことに大きな意義があり、(*他では「高齢者クラブ」や「認知症カフェ」等があります)
継続的により力強いコミュニティ活動とするために、参加者の高齢者の方々はまさに学生としてみなされる。
大学生と同じように出欠を取り、試験を行い合格すれば卒業となる1年の履修プログラムになっているということです。
大学から先生を招待し健康や社会活動について学びながら実際のコミュニティで実践していく。
そして、そこには公衆衛生学科の学生達も一緒に混ざり合い、ときにはお互いに教え合う、学び合う活動が盛り込まれる。相互にとってより有意義で貴重な機会が提供され、多世代異文化な環境でイキイキと健やかな暮らしが活性化していく。
そんなチャレンジングでイノベーティブな取り組みに日本が学ぶべきコミュニティのあり方を感じることもあれば、日本での教訓や知識を活かしていける場面も多くあることに気づくことができる。
そんな活気あふれる現場で、
逆に元気や学びをたくさんもらいながら活動させてもらっています。
残りの活動期間もわずかとなり、締めの段階にきているのですが、何ができて何ができなかったのかよりも、これからどのように関わっていくことができるのか。何をどのようにして「より良く生きる」を広めていくことができるのか。
過去よりも未来へ。少し先の幸福を。
そして、今この瞬間を大切にイキイキ暮らすことができているか。
そう関わる人に問いていきながら、ともに学びあい助け合い自分にできることから活動を続けていきたいと考えています。
グローバルヘルスの最前線から笑顔を広めていくために。
素敵なおじいちゃんおばあちゃん達に負けじと...
これからも一緒に元気に生きられる世界を目指して。
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