JICA海外協力隊の世界日記

チュニジア便り

【天色日記】笑顔の原材料

私が最初に勤めた病院の理学療法士長は、障がいのある子どものリハビリテーションで「子供よりも先にまず親を救う」ようにと話していました。とくに母親は 子どもを障がいのある体に生んだことを、自分のせいだと責めている事が多いからと。思い返してみるとあの頃、子どもに付き添う家族の表情が明るかった記憶はあまりないのです。病院という環境のせいも、多分にあったと思うのですが。

日本で、障がいのある子どもに対する、周囲の大人たちの思いは真摯でした。ご家族、保育士、先生、医師、看護師、療法士、皆それぞれに子どもの将来がより良いものになるようにと考えて関わっていました。

だから配属先の同僚たちの、利用者さんたちへの関わり方は希薄に感じることがあります。利用者さんそっちのけで世間話をしていることもあるし、スマホを見てることもある。お祝い事などのイベントで中心に居るのは大人たちで、子どもたちが外野に置かれている。大人は子どもたちに遠慮をしません。

語学学校のチュニジア人の先生に「日本では仕事のときに、仕事以外の話は慎む」と言ったら驚かれたので、仕事とプライベートを分ける、という感覚がここではあまりないのかもしれません。日本での仕事ぶりに、古いですが「滅私奉公」という言葉を思い浮かべます。チュニジアの同僚たちは「滅私」しません。

配属先の大人たちは自然なのです。それぞれに感情の表出がとても自然。場が緩んでいて、張り詰めた雰囲気がない。最近思うのです。大人が笑っていられなければ、子ども も笑えないだろうなと。

いま私には日本の有り様のほうが難解なのです。どうしてみな一生懸命なのに、希望がみえづらいのか。

「難しい子など存在しない。難しいのは、人々が疲れていて、忙しく、忍耐力がなく、急いでいる世界で 子どもであることです」

配属先で見つけた言葉です。子どもだけじゃなくて、きっと大人も。

読んでくださってありがとうございます。

Besleema , nHaarek ziin (ベスレーマ、ンハーレックジーン) 

           またお会いしましょう。あなたの一日が素晴らしいものでありますように

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