JICA海外協力隊の世界日記

チュニジア便り

【天色日記】豊かさは、物を大切にできること

配属先の障がい者協会には32台の車いすがあり、ブレーキが効くのは8台、フットレスト(足をのせる部分)があるのは11台です。この状況、経年劣化だけが原因ではないようです。例えば、他の療法士らと子どもたちの姿勢を整えるために車いすを調整しても、次の日に見ると装着した筈のフットレストやクッションが取れていたり、位置が変わっていることがほとんどです。 こちらも心得て装備を施すのですが、長くは保たない。いったいどんな必殺技を? と観察してみると、職員たちの物への触れ方、扱い方はせわしなく粗い。彼らが乱暴なわけではなく、根本的に物との相対し方が日本とは違うように感じます。

チュニジアに来たばかりのころ、スーパーのレジで食料品を投げるように渡されるのが苦手でした。物をつかむ時と離す時のタイミングが速くて、どこか雑な印象を受ける。所作に違いがあるのではないかと、考えています。私にはチュニジアの躍動的な踊りがとても真似できないように、チュニジアの人たちに能や茶道は難しいかもしれません。...ちなみに私は能と茶道もできません(◞‸◟)

国民性というのは自国にいると分かり難いものですが、「物を長く使い続けようとする精神」は、100均すばらしい!と思う私にも確かに培われていると、いまは日本人である自分を意識します。物を粗末に扱わない、整理整頓をする、というのは物への敬意に裏打ちされた行為なのだと気づきました。

私は物や資金が十分にない環境では、あるもので工夫をし、隅々まで活用して物を大切にするのだろうと想像していました。けれどもここでは、日本の病院よりも諸行無常を感じます。 配属当初は、日本はやはり物が豊かだと感じていましたが、今は少し違います。国を問わず、物を大切にするとき、物に感謝するとき、人の心は豊かなのだと思います。

読んでくださってありがとうございます。

Besleema , nHaarek ziin (ベスレーマ、ンハーレックジーン) 

           またお会いしましょう。あなたの一日が素晴らしいものでありますように

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