JICA海外協力隊の世界日記

チュニジア便り

【天色日記】スイッチ&スイッチインターフェースが出来ました!

配属先障がい者施設のアテトーゼ型脳性麻痺の方々が、コンピュータアクセシビリティの機器「スイッチ」(ニンテンドーではありません)を使ってスマートフォンが操作できるようになりました。

この「スイッチ」は日本から持ってきた物(↓下記写真)。既製品は海外でも販売されていますが、シンプルな機能のものなら安価な材料で手作りもできます。配属先の同僚から、今後も必要になるから作り方を教えてほしいと要望があって快諾したのですがですが!チュニジアでは購入できない部品もあることが分かりました。

チュニジアでは政府の支援等もないため、障がいのある人たちへのコンピュータアクセシビリティ技術は普及していないと、チュニジア作業療法士協会の方から聴きました。物や道具ならなんとでもなる、と思いながらも頭を抱えて110か月。やっとチュニジアで入手できる安価な材料で、機器ができました。

スイッチ初号機

ボタンの部分を海外オンラインショップに注文して2ヵ月。届かない。サイトに問い合わせたら、配達されますご安心くださいと回答頂いたけれども、届かない。同僚が業を煮やし、一緒にチュニスの工具店を回って仕入れた材料で作ったのが↓下の写真。同僚が銅線のカバーをライターで燃やし(私はカッターとニッパーで優しく剥きます)、プラグとボタン基部に銅線をねじ込み(私ははんだ付けします)生温い目で見守ってたら、動いたんだな、これが笑。ブラヴォー!

スイッチインターフェース

スイッチと本体機器(スマホまたはタブレット)を介する機器。チュニス最古といわれる電子機器店でやっと見つけた電子基板で試しにつくってみたところ、プログラムの書き込みに失敗したのか反応しない…。練習あるのみ(同僚のまえではサクッとつくって格好をつけたい)と思ったら、電子基板が品切れでいまだ入荷せず。おーまいがっっっ!と天を仰いだら、プレイステーションのゲームコントローラを改造したスイッチインターフェースがあることを思い出し、ゲームコントローラー改造に路線変更。もうプレイステーションの時代は終わったみたいで、他の安価なゲームコントローラーで試行錯誤。そしてやっと、やっと、本日成功(涙)。これならプログラム書き込まなくて良いし、はんだ付け箇所も少ないから作業的に同僚の負担が少なくてすみます。

あと残るのはスマートフォン・タブレット本体の課題だけ。日本ではどのスマートフォンでもスイッチ操作ができたから当たり前だと思っていたけれど、チュニジアのほとんどのスマートフォンはスイッチを認識しません。Galaxyのいくつかの機種が使用可能と分かり、Samsungに問い合わせて対応機種を確認して頂いてます。ユーザーも居らず、本体を安価にするために機能を省いているのかもしれません。配属先への技術支援と共に障がいに関わる人々やエンジニアに、コンピュータアクセシビリティの活用について知ってもらうことが、今後の継続的な支援の手助けになるかもしれないと考えています。

最後に。ここまでずっと、コンピュータアクセシビリティ機器製作の技術指導をしてくださった日本のNPO法人ICT救助隊に、心から感謝致します。わたしひとりでは新たな技術の導入はとても成し得ませんでした。

読んでくださってありがとうございます。

Besleema , nHaarek ziin (ベスレーマ、ンハーレックジーン) 

           またお会いしましょう。あなたの一日が素晴らしいものでありますように

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