2024/12/13 Fri
天色日記 活動
【天色日記】チュニスの作業療法士養成校に行きました!
チュニジアの作業療法士協会からご提案頂いて、チュニス保健科学技術高等学校(ESSTST)でワークショップをしました。広い敷地に高校・大学・病院が隣接しており、私が訪れた建物には麻酔蘇生科、生物学部、衛生部、栄養学科、産科、放射線科、リハビリテーション科があります。広すぎてどこが大学なのか分からず迷っていたら、生徒さんが見つけてくれました。日本人、分かり易くて良かった…。私がお会いしたのは作業療法学科の先生と生徒さん。先生からのご要望で、主にチュニジアでの作業療法士活動についてお話をさせて頂きました。
配属先障がい者施設の利用者さんは、ほとんどが脳性麻痺です。脳性麻痺の方々へのリハビリテーションアプローチについて、チュニジアと日本ではほとんどが共通していると話しました。では違いは何なのか、そのひとつとしてコンピュータアクセシビリティ技術を紹介しました。アテトーゼ型脳性麻痺の人たちが「スイッチ」という機器を使ってスマートフォンを操作している動画と、チュニジアで製作した機器を見てもらいました。新しい技術を必要な人のもとに届けるには、まず多くの人に知ってもらうことからだと考えています。作業療法の学生さんたちへは、ただ技術を知ってもらうだけでなく、少し深く話をしました。
1950年代頃から「生活の質、人生の質(QOL)」に対する考え方に変化があり、人の意志や自己決定を尊重する流れのひとつとしてコンピュータアクセシビリティ技術が発展したこと。この技術がどのような可能性をもっているか、人の生き方の変化をもたらすかを示すため、遠隔操作でロボットを操作して在宅就労をしている重度障がいの人々の映像も見て頂きました。
ある生徒さんから、重度障がいのある人々の就労について「資金はどうしているのか?」と質問がありました。エクセレント、素晴らしい質問です。私が「政府の支援がある」と答えたら「それがチュニジアにはない!」と生徒さん、ジーニアス。そう、その通り。
日本の強みは、すべての国民が包括的な医療とリハビリテーションを享受できる社会保障と医療制度であると伝えました。そしてチュニジアの強みは、人々が互いに助け合うこと。家族を大切にし、他者に対して寛容で、日々の幸せを感謝することができる。もちろん、すべての人がそうではない。けれども、チュニジアでは「皆で、一緒に(Baedhna)」に価値をおく基盤がある。それはあなた方の強みで、それがいかに得難いものか日本人だからこそ分かる、といちばん伝えたかったことを伝えました。
ここまで読むと、私のプレゼンテーション力すごいと思いますが残念ながら私の語学力はへっぽこです。へっぽこ、というとちょっと可愛いですね。パワーポイントは仏語でつくり、会話は主に英語で、テンションがあがるとチュニジア語が混ざるという、ほんとうに残念な私のスピーチでしたが、それでも作業療法学科の皆さんがこちらを理解しようとしてくれたから、安心してお伝えすることができました。与えることよりも、与えられることのほうが多い日々の活動。チュニジアの作業療法士と未来の作業療法士の皆さんに、心からの感謝を。
読んでくださってありがとうございます。
Besleema , nHaarek ziin (ベスレーマ、ンハーレックジーン)
― またお会いしましょう。あなたの一日が素晴らしいものでありますように
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