2025/11/05 Wed
活動
【ウガンダの救急外来】#22ナース×ウガンダ×国際協力②

ウガンダからこんにちは!
お久しぶりです。上野泰世(うえのやすよ)です。
現在、ウガンダの病院で協力隊『看護師』として
「医療サービスの質の向上」のため奮闘しています。
ナース×ウガンダ×国際協力①では「ウガンダでの看護師資格」についてお話しさせていただきました。
【ウガンダで看護師免許取得⁈】#14 ナース×ウガンダ×国際協力①
さて、今日は
ウガンダの救急外来
についてお話ししていきたいと思います。
私は、いろんな部署を回りながら看護師として実際にウガンダの病院で看護業務を行っています。
最初に配属された部署が、
「Emergency (救急外来)です!」
アメリカ映画ではよくERともいわれてますよね。
ウガンダの病院では、A&Eといって「Accident and Emergency」と言われることが多いです。
私の活動先のリラ地域中核病院の救急外来は、2021年に日本の無償資金協力で建てられました。
救急外来と一般外来が併設させています。

どんな疾患で来る患者が多いと思いますか?
一番多い症例は、交通事故や事件による外傷です。
ウガンダではボダボダといってバイクタクシーが主流です。
バイクにはなんでも乗せちゃうんです。ベッドとかソファーとか、人も1人じゃありません。3人、4人乗ってます。
交通ルールはあっても、守る人が少ないのが現状です。(協力隊は禁止されてます)
また、いろんな事件も多いですね。殴り合いや銃で撃たれたり、嚙みつき合ったり・・・
次に多い症例は、マラリア感染症です。
マラリア感染症は、蚊を介して感染する病気で、主な症状は、高熱・嘔吐・下痢・頭痛などで、重症化すると命にかかわります。特に小児でマラリアで命を落とす患者が少なくないです。
隊員たちは抗マラリア薬を内服しています。また寝るときは蚊帳を使用します。
他には、鎌状赤血球症(アフリカに多い遺伝性の病気)、呼吸器疾患、敗血症、消化器疾患、もちろん脳卒中や循環器疾患患者もいますが、当病院には心電図やMRIなどはありませんし、カテーテル治療や手術は困難です。また、心臓外科医や脳神経外科医のように専門性を持っているドクターはいません。そのため、診断およびできる治療が限られているのが現状です。
ウガンダに救急車があると思いますか?
答えは「YES」です。日本から寄付された救急車があります。
しかし、システムは全く違います。日本だと救急は119、アメリカだと999ですよね。
ウガンダでは、まだ救急車を呼ぶシステムは国として決まっておらず、各病院の担当医師に個人が電話することになっています。また、燃料費なども必要なため貧しい人や担当医師の電話番号を知らなければ呼ぶことができないためほとんどの患者が、ボダボダ(バイクタクシー)のような交通機関または自家用車などを使用して運ばれてきます。

救急外来では、1日に30人~40人の患者を対応しています。
ここで問題なのが、
看護師と医師不足です
日中看護師が1~2人、医師は少ないため研修医が1~2人、時にはいないときもあり、どんなに重症患者がいても待つしかありません。また、日常的な物品不足・管理不足により酸素や手袋、針や点滴ルート、薬がないことも多く、すぐに患者の処置ができないことも少なくありません。
そして体温計、血圧計やモニターは各病棟に1つあるかないか…、モニターはあったとしても、心電図は測りません(胸に貼るテープがありません)。また、停電もあるので経時的にモニタリングをすることも困難です。
救えなかった命も沢山みてきました。
日本で生活していた時には、考えたこともなかったことを沢山経験しています。
また、スタッフとの間で感じる死の価値観の違い、治療や患者・家族への対応の違いなど多くのジレンマを感じることも多いです。
しかし、ウガンダでアフリカでしか学べない疾患や対応を知り、
毎日ウガンダ医療のリアルを実際に感じ、経験できていることはとても貴重であり
素晴らしい経験を培うことができています。
そして何よりも、日本における医療の質・看護の質は高いということを身に染みて感じています!!
「体調を崩した時は病院にいって適切な医療を受けられる」ことが当たり前ではなかったのです!
今日はこのへんでウガンダの救急外来についてお話しをおしまいにしようと思います。
3月末まで救急外来で活動し、その後は小児科、そして今は内科病棟で活動中です。
自分の経験を通してアフリカ医療の最前線に触れて頂けたらとても嬉しいです!!
少し長くなりましたが、最後まで読んでくださりありがとうございました。
アポヨ~!!(ありがとう:現地語)
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