JICA海外協力隊の世界日記

ウズベキスタン便り

恐怖の乾杯"カラタウ"


執筆:上月太久真(JICA海外協力隊2024年度9次隊/農業土木)


アッサラームアライクム! カラカルパクスタンに農業隊員として派遣中の上月です。

突然ですが、皆さんお酒は好きでしょうか? ご存じのとおりウズベキスタンはイスラム教徒が大多数を占める国です。ですからタシケントなどでお酒を飲むとなると外国人向けのレストランやスーパーを探さなければいけなかったりなかなか大変です。しかし、私が活動しているカラカルパクスタンではその心配はご無用です。もともと遊牧文化が濃いこの地方ではお酒を日常的に飲む人もお酒を提供するレストランもたくさんあります。

そんなカラカルパクスタンで現地の男たちが口をそろえてお勧めするのが“カラタウ”です。現地語で黒い山という名前のこのお酒、実はロシアでいうところのウォッカでなんとアルコール度数40度の日本人には少々危険なお酒です。

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このカラタウ、何かの催しものやゲストを招いての食事会では必ずといっていいほど登場します。ちなみにカラカルパクスタンでは家で晩酌する文化はありません、両親の前でお酒は飲まないのがマナーだそうです。日本人であればこういう場合「とりあえずビール!」と行きたいところですが、カラカルパク人に言わせれば「せっかくカラタウがあるのにビールなんて!」だそうです。それくらいこのカラタウにみんな誇りを持っています。味は大変クリアでアルコールの甘さを感じられるおいしいお酒です。二日酔いも出にくいと思います。たくさん飲まなければの話ですが、、、

カラカルパクスタンに着任してからはや4か月、ありがたいことに数えきれないほど宴会の席に呼んでいただきました。

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宴会の席につくと必ずカラタウ片手に「君、お酒はいける口かね?」と笑顔で聞いてきます。このとき首筋を数回指ではじくジェスチャが入ります。これは日本でいう盃を傾けるジェスチャで飲酒を意味しています。お酒好きの私はもちろん「はい、カラタウ好きです」と返事するのですがとても喜んでくれます。そして小さめのグラスにカラタウが注がれ宴会スタートです。まずは年長者や主催者がグラスを持って立ち上がりスピーチを行います。スピーチの内容はその日のイベントへのお礼やお祝い、出席者の健康などで1分間ほど喋ります。そして最後に全員でグラスを合わせます。

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ここで日本酒のようにちびちびやってはいけません。必ず一気に杯を空けなければいけないのです。そしてしばらくするとまたカラタウが注がれ次の人が杯を持ち乾杯のスピーチをする。この繰り返しです。そうです、参加者が10人いれば少なくとも10回の乾杯があり20人いれば、、、ほとんどエンドレスに乾杯&一気飲みが続くのです。私のような年少の参加者は大抵最後の方に順番が回ってくるので、もうすでに痺れてきた脳みそでスピーチを考え、ふらつく足で立ち、回らない舌で乾杯の音頭を取らなければなりません。ハラスメント防止が広まってきた日本同様カラカルパクスタンでも無理強いされることはありませんが注がれた杯を飲まずにおくのは男の恥というもの、お開きになるまで飲んで宿酔に苦しんだことは一度や二度ではありません。一気飲みのルールの他にもう一つ、開けた瓶は飲み干すというルールもあります。なので3人くらいで食べているときにカラタウの瓶が出てくるとその瓶をたった3人で飲んでしまわなければいけないことになります。その場合日本酒4合くらいの酒量が確定しますから弱い人は覚悟しないといけません。飲み終えたと思ったら次の瓶を開けるのが見えて絶望なんてことも、、、

ここまで書くとなんだかカラカルパクスタンの宴会は過酷なように思われるかもしれませんが、わたしは毎回楽しんで帰っています。なんといっても料理がおいしく伝統的な肉料理とカラタウの相性が抜群です。またこちらの寒冷な気候の中では体を温めてくれるカラタウがどんなコートよりも優秀です。それに、こちらでも飲まない人はたくさんいますからお酒の弱い方や女性も誘われた際は気軽に参加してみてください。




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