JICA海外協力隊の世界日記

ウズベキスタン便り

日本より時間に正確!?秒単位!驚異のタシケント地下鉄


執筆:能登邦之(JICA海外協力隊2023年度3次隊/日本語教育)




日本のダイヤが時間に正確なことは世界的にも有名ですが、タシケントはその上を行く正確さだという事は知られていません。

私がそれを知ったのは、ウズベク人に「日本の電車は数分遅れただけで謝罪のアナウンスが入るって本当なの?」と聞かれた時でした。

「もちろん本当だよ。時刻表もないタシケントの地下鉄からすると信じられないかもしれないけど」と答えると、彼はニコニコして、

「でも、タシケントの地下鉄はもっと正確だよ。地下鉄の時計を見たことないの?」



画像1.jpg

右側が現在の時刻で、左は電車が出てから17秒が経っていることを示しています



「日本と違って、ウズベキスタンでは、『お前が来たのは、何分遅かった』ってことを教えてくれるんだよ。秒単位でね」

電車が出てから、カウントが始まる時計。確かにこれなら1分と違わず、自分がどのくらい遅れてきたかを確認できます。



いらんけど。



そして、

「電車が遅れるんじゃない。お前が遅れたんだから、謝るのはお前のほうだってこと。これがウズベキスタンなんだよ」

と彼は笑いながら、文化の違いを教えてくれたのでした。




たしかに外国では、電車が出てからどのくらい経過しているのかを表示するシステムをとっているところもあります。

しかしそうした行政サービスを、「国が国民に謝ることなんてない。謝らされるのはいつも国民の側なのさ」と説明するところに、ウズベキスタンの人々の社会へのまなざしを見たような気がしました。




システム上の違いはさておき、私もこの2つの在り方を考えてみました。

日本型の何分後に電車が来ることを伝えるシステムは、来るべき未来を想定しているといえます。私たちはつねに「今」とは、未来へ向かっている基準点であり、いついつまでにあれをする、あと何日でああなる、という発想で動いています。

ウズベキスタン型の、何分前に電車が出たことを伝えるシステムはどうでしょうか。「今」は過去からもたらされた結果としてとらえられます。この先どうなるのか、ではなく今どうなっているのかを受け入れるだけです。

私は現在、タシケントにある大学の日本語学科で活動してますが、こうした時間のとらえ方の違いは、ウズベキスタンで仕事をする上でも感じていたことなので、駅の時計ひとつをとっても、文化の違いが反映されている(?)ことに面白みを感じました。

タシケントを訪れた際には、ぜひ地下鉄のこの時計を見つめて、自分が何分遅刻したのかを思い知ってみてください。

画像2.jpg

駅ごとに違った趣向が凝らされているタシケントの地下鉄は、鉄道ファンでなくても一見の価値あり。




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