JICA海外協力隊の世界日記

バヌアツ便り

国際大会で優勝しました(#15 高橋利幸/職種:編集)

11月上旬から3週間、パプアニューギニア(PNG)で開催された「MSG Prime Ministers Cup 2025」にメディア担当としてナショナルチームに帯同しました。今回は、この大会での日々を書きますね。

メラネシア5ヵ国・地域(フィジー、ソロモン諸島、PNG、ニューカレドニア、バヌアツ)が参加する大会で、1988年に始まった「メラネシアカップ」が前身。現在は、各国首相が持ち回りで主催する仕組みに変わり、FIFAランキングにも反映される公式大会として扱われています。今年から女子部門も初開催となり、男女合わせて選手とコーチ・スタッフ約60名の大所帯でPNGに乗り込みました。

今回の仕事は本当に忙しかった。男子の試合が終われば次は女子の番です。午前中に男子のトレーニングを撮影したら、午後から女子チームの取材など。夕食を済ませたらすぐに編集作業に入り、そのまま夜までの日々でした。3週間で投稿した本数は、動画も含めて98本。前回女子チームに帯同したときの、単純に2倍の作業量と言えるのでは!

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女子チームは私の投稿ペースに慣れているのでいつも通りですが、普段あまり撮られることのない男子チームの反応がすごかった。写真を撮ってアップすると「いいね」が1000件を超え、多いときは5000件に達することもあり、コメント欄も大盛り上がり。こちらも、かっこいい写真を狙って投稿するものだから、まるでアイドルの撮影会状態です。選手たちは「ヨシ、写真を撮ってくれ」と次々に集まってくるし、投稿写真を選ぶ私の気を引こうと、「疲れてないかい」「ペットボトルの水はここに置いとくよ」と気遣ってくれて、私もスターになった気分(笑)。

そして、男子チームは見事優勝し、女子チームも3位で銅メダルを獲得しました。決勝戦のPNG戦はまさに壮絶。11のまま90分で勝負がつかず延長戦へ。延長前半にバヌアツが先制するも、後半終了間際にPNGが執念で追いつき22。そのままPK戦に突入しました。バヌアツは最初2人が連続で外し、スコアは02。「これで終わった」と、ピッチの脇で撮影していた自分は、正直諦めました。この写真は、みんながキックを見守っている様子です。

しかし、その後GK2本続けてセーブ。5人目を終えた時点でスコアは33となり、勝負はサドンデスへ。アウェイの観客席は当然PNGの応援一色で、相手が決めるたびにスタジオ全体が揺れるような歓声が響きました。それでも最終的に、8人目のキッカーのシュートを止め、バヌアツが勝利をつかみました。前回の優勝は1990年。35年ぶりの2度目の栄冠です。

その場でピッチにいた自分はビデオを回し続けました。選手たちはみんな泣いていて、喜びを爆発させています。その時間を共有できたこと、その一員になれたこと、自分は本当に幸せでした。この動画は、優勝を決めた瞬間のものです。

その後の展開も圧巻でした。閉会パーティでは、PNGの首相が男子チームに金メダル、女子に銅メダルの授与。女子チームのメディア主担当である自分も銅メダルをいただき、首相と握手を交わしました。大会MVPには、もちろんバヌアツのゴールキーパーが選ばれました。

帰国後もすごい。チャーター機でまさに凱旋帰国。空港では首相が出迎えてくれ、赤じゅうたんの上を初めて歩き、入国審査もなくVIPルームへ。この間、すべてテレビで生放送されていました。副首相のスピーチ後、空港の外は熱気に包まれ、そのまま選手と優勝パレードへ。時速50kmほど!の速さで街を30分かけて1周し、撮影どころではありませんでした。スタジアムでの歓迎式典では私も壇上に呼ばれ、「ヨシー」のコールも忘れられません。最後にJICAから派遣されたと紹介され、首相から日本語で「ありがとう」と握手をいただきました。

今回の遠征では、男子チームの一員として認められ、もちろん女子チームは自分の家族のようなもの。コーチ陣や役員である会長・事務総長など、皆が一丸になってチームを支えました。そして最後に最高の結末を迎え、本当に忘れられない経験になりました。

この動画の誇らしげな私の顔を見てください!

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